今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、フリー・アナウンサーの富永美樹(とみなが・みき)さんです。
千葉県出身の富永さんは、東京外語大学卒業後、94年にフジテレビに入社、アナウンサーとして数々の番組を担当。98年10月に、人気バンド「シャ乱Q」のメンバー、まことさんとの結婚を機に、フジテレビを退社。現在はフリー・アナウンサーとして、テレビやラジオ、雑誌などのメディアで活躍。そしてプライベートでは、キャンプやカヌー、自転車などを楽しむアウトドア派なんです。さらには、暮らしの拠点を東京のほか、富士山麓、そして西伊豆と3箇所もっていて、季節を感じながら、そして地元の人たちとお付き合いしながら、自然と寄り添った暮らしを送ってらっしゃいます。
そんな富永さんは、「発酵マイスター」の資格を持っていて、発酵食について大変詳しいかたなんです! そこで今回は富永さんに、自然暮らしのお話ほか、美容や健康にいい、発酵食のおすすめレシピなどうかがいます!
※どうして東京以外に、富士山麓、そして西伊豆でも暮らすようになったのでしょうか。
「『大草原の小さな家』って知ってますか? ローラ・インガルス・ワイルダーさんというアメリカ作家の作品なんですけれど、その前談が『大きな森の小さな家』というものなんです。もともとウィスコンシンの森で暮らしていた家族の物語なんですけど、私、子どもの頃その本がすっごく好きで、カエデの木にさしてメープルシロップを取るとか、いろんな森の暮らしの様子が出てくるんですよ! 本当に憧れていて、(森の中で暮らすために)いろんなところを見たんですけど、“ちょっと早いかもしれないけれど、40代半ばだったらまだ元気もあるし、東京で働きながら森で暮らすっていうこともできるんじゃないか”と思って、頑張りました(笑)」
●なるほど。それで、さらに住む場所が3箇所になったのは、どうしてなんですか?
「ある番組の企画で、“3ヶ月、移住の体験をしませんか?”っていうオファーが来まして、そこが西伊豆の戸田(へだ)っていう、3,000人ぐらいがいる、駿河湾に面した土地だったんですけれども、結局3ヶ月で“バイバイ”って言えなくなっちゃって(笑)」
●3ヶ月じゃ終われなくなっちゃったんですね(笑)。
「本当にね、地元の人が優しいというか、温かいというか…。気兼ねなく付き合えるんですよ。“またきょうも化粧してないのか、お前は! あはは!”ってフランクに言い合えるような人たちなんです。それで結果、この3年間で3箇所になってしまって、“どうしよう…”って思いながら楽しんでいます(笑)」
●3箇所で暮らすって、大変なんじゃないですか?
「そうですね。山梨のほうは標高が1,200メートル近いんですよ。なので東京とは全く気温が違うというか、季節が違う感じですね」
●季節が違うっていうのは、すごい気になります。
「今は10月の頭なので、もう紅葉が始まってますね。冬になると、夜はマイナス15度とかになるから、本当に寒いよ! 薪ストーブがあるんですけれど、森に囲まれているので、雪とか台風で折れてしまった木を夫と私で集めてきて、夫はチェーンソーで切って鉈で割って、私はのこぎりで焚き付け用の細い木を切ったりとかしていますね。自分たちで燃料を集めて暮らしているみたいなところがあるので、ポンっとスイッチを押すとあったかい空気が当たり前に出てくるとか、そういうのではない暖の取り方をしていて、それによって、その上でおでんを煮込めたりとかもできるんですけどね。それくらい寒くて低い気温だから、雪の美しさだとか、森に雪が積もって“し〜ん”とした感じとか、そこにウサギとかの足跡が付いていたりを楽しめるんです。それこそ、お隣さんがシカっていう感じなんですよ!」
●それはすごいですね(笑)!
「目の前の木から木にムササビも飛ぶし、朝起きたらキジの親子が家の近くにいたり…。シカもしょっちゅう出てきて、それで夜中の間ずっと子ジカが、お母さんとはぐれるからなのかなぁ、“きゅんきゅん”って泣くんですよ! 最初は怖かったんですけど、そういうのを間近で見ていると、“あ、私たち人間も、そういう自然のサイクルの一部なんだな”ってすごく感じましたね。野生の動物って、その日、1日を生きることが仕事じゃないですか。なんとかエサを見つけて、生き延びる。で、上手くいけば子孫を残す。それだけなんですよね。私たちって、そこに仕事もあったり人間関係もあったり、いろんなことを考えちゃったりするんですけど、彼らを見てると“生きるだけでいい”っていうことを間近で感じられるんです。価値観がすごく変わりましたね。自分でも“あ、私、変わったな”ってすごく思う(笑)」
●どのへんが一番変わったと思います?
「楽に生きられるようにはなりました、すごく。考え過ぎなくなったというか、それこそもう、“自分にできることって限られてるな”と動物たちを見てると思うので。“自分にできることを精一杯やるだけでいいじゃないか”っていうことですかね」
※富永さんはもう一つの暮らしの拠点である西伊豆で、海のそばの暮らしならではの、こんな経験をされたそうですよ。
「特に海のそばで暮らすと、目の前の海で採れたものをみんなで分け合うんですよ。地元では“おかず分け”っていうんですけど、その日に採れたものをみんなで分けることが文化として根付いているんです。東京だと、“いただいたら何かお返ししなきゃ!”って思うじゃないですか。そうやって焦ってしまうんですけど、そこではいっぱい採れたのを分けているだけですし、“もらうも義理だよ”って言われたんですね。“もらってくれるのも義理なんだから、もらってね”って地元の人に言われたの。すごくそれが言葉として残っていて、“あ、これは義理なんだ。お返しとか気にせずに、有り難くいただいていいんだ”って思えたんです。多分ね、きっと縄文時代の頃から人々はそうやって暮らしてたんじゃないかなって思ったんですよ」
●昔は別に通貨とかないですもんね。
「狩猟をして暮らしを立てていたわけで、いっぱい獲れたらみんなで分け合って食べる、獲れなかったらみんな、ひもじい。まあ、現在はお金で、獲れない時は買えるわけですけど、なんだろう…人間の営みの根本みたいなものを見せてもらっている感じがします。それで、“友だちの漁師さんが獲った魚だから、なんとか調理しなきゃ!”って思うんですよ。そして、自分も下手だから友だちの家に持って行って、“これ、一緒にやってくれ〜”って頼んだり、あわよくば完全にやってもらったり(笑)。
その時に獲れたものって旬のものなんですよね。山梨でもらうお野菜も、夏は夏野菜しかこないし、冬は白菜が10玉くらい来るんですよ! だから東京の友だちにちょっと分けたり、あとは新聞紙に包んで、(屋外の)屋根のあるところに置いておくんですよ。そうすると、外側の何枚かはぺりぺりって乾いちゃうんですけど、中は大丈夫なの。だから冬中けっこう使えたりするんですよ。そういう食文化に触れていくと、“旬の時期に旬のものを、こうやって昔の人も食べていたんだろうな”っていうのをすごく感じたんですね。だから本当に食べるものについての考え方もすごく変わりました」
●今、白菜の保存方法を教えてもらったんですけど、そのような、できるだけ食材を長持ちさせるための知識も増えましたか?
「そうですね。山梨ってね、武田信玄のころから味噌づくりが盛んな場所なんです。それで、お野菜を作っている友だちが、実はお味噌も作ってるんですよ。そこにちょっと参加させてもらって、分けてもらったものを、自分の家で発酵させてみたことがあるんですね。それにはゆでた大豆と塩と米麹が入っていて、その友だちは麦麹も混ぜていたんですけど、その塊がだんだん味噌になっていく過程を、たまに蓋を開けて混ぜながら、半年ぐらい見てたんですよね。そして、“発酵って、何だこれ?? すごいな!”と思い始めたんです。
また、ちょうどその頃は夏バテがすごくて、1日外で撮影していたら倒れそうっていうぐらい元気がなくなっていたんですよ。そんな時、仕事の帰りに、駅前に自然食品のお店みたいなところがあって、今でこそ、すごくメジャーなんですけど、そこには甘酒が置いてあったんです。当時は麹からできる甘酒と、酒粕をお水で伸ばして砂糖を加える甘酒の違いもよくわかっていなかったんですね。そこで米麹の甘酒を初めて見て飲んでみたら、“なんかすっごく元気が出る!”って思ったんです。それと味噌づくりに参加したのがちょうど同じころだったんです。
その頃、私はアナウンサーとして主婦向けの朝の情報番組に出ていて、“発酵食品っていいですよ”っていうことは散々伝えていたんですね。人間の免疫力の7割を腸が担当しているので、腸を整えるといいんだということはそれまでも言っていたんですが、どうしていいのかっていうのがちゃんとわかっていなかったんです。なので、味噌ができていく過程を見て、“発酵についてちょっと勉強してみたいな”って思ったんです。それで調べていたら、発酵マイスターっていう資格があるのを知って、講座に通って勉強して、自由研究みたいなリポートを出して、試験を受けて、受かったんですね。大学の頃以来、何十年ぶりにものすごく勉強しました!」
※さあ、ではどうして発酵食は身体にいいのでしょうか。「発酵マイスター」の資格を持っていらっしゃる富永さんに聞いてみます!
「腸には、善玉菌や悪玉菌など、いろんな菌がいるんですよね。2割が善玉菌、1割が悪玉菌、そして日和見菌というのが7割くらいいるんですね。日和見菌っていうのは、腸内環境が悪くなると悪玉菌になっちゃうんです。よくなると善玉菌になるんで、要は(イソップ寓話の)コウモリみたいに…」
一同「日和を見る! (笑)」
「いい方についちゃうんですね。なので、その細菌のエサとなる、細菌が喜ぶものを入れてあげて、日和見菌を善玉菌に偏らせるっていうことがすごい大事なんですね。発酵食品っていうのは、細菌のエサになるオリゴ糖とか食物繊維とかがすごく多く含まれているので、菌が元気になるんです。なので、まず腸内環境が整うっていうことと、発酵する過程でビタミンとかアミノ酸とか酵素っていうものが出来上がってきて、発酵食品になった時にとても栄養がアップするんですよ。つまり栄養価が上がる。昔から発酵食品って、保存させるための作業でもあったわけですよね。旬の時期には旬のものが獲れますが、冬には何も獲れない。食べるものがなくなっちゃったりする。そこで発酵させることによって、保存性を高めるんです。あと、おいしさも加わるんで、いいこと尽くしなんですよ。私も勉強してびっくりして、“こんなにすごいの!?”って思いましたね」
●具体的には、どんなもので摂るのが一番いいんですか?
「そうですね。本当に一番手軽なところで言うと、納豆菌って自然界で最強って言われているんですよ!」
●そうなんですか!?
「“納豆を食べた後は、造り酒屋さんとかヨーグルトを作る工場には来ないで!”って言われるぐらいなんです」
●納豆菌のほうが強いんですか?
「強い! 乳酸菌とかが負けちゃうんですよ。なので、すっごく疲れた時は、私は納豆とキムチ、それも乳酸菌なんですけど、そこに豆腐も入れたりして。あとはね、もずく! ネバネバが相乗効果でいいので、それらをグチャ〜っと混ぜて、お醤油とかポン酢をかけて、それだけを食べる時もあります。納豆菌は…」
一同「強い」
「あと個人的に作っているのは、それこそみなさんが美容のために飲んでいる、甘酒なんですけど、もともと私も最初の出会い以来、甘酒は買ってたんですよね。だけど私が買ってたのは1パック、だいたいコップ1杯分で400円したの」
●結構高いですね。
「そう。毎日のことだし、私は主婦で家計を預かっているから、“これ、作れないのかな”って思い始めたんですね。それでちょっと調べたら、“あれ、意外と簡単だ”って思って作り始めたんです。炊飯器で作れるんですよ。米麹とお水を用意していただいて、乾燥でも生でもいいんですけど、私は米麹を300グラム、そしてお水500ccを炊飯器の釜に入れます。保温のボタンを押します。蓋は閉めない」
●閉めないんですか?
「閉めないの。ほこり除けにふきんをかぶせる。何で閉めないかというと、蓋を閉めて保温すると、70度以上になるんです。そうすると酵素が働かなくなる。なので蓋を開けておくんですね。それで、2〜3時間ぐらい経ったら、かき混ぜてトロ〜っと、とろけていて、舐めてみて甘ければ、もう大丈夫です」
●え、もう甘酒の完成ですか?
「完成です!」
●あ、そうなんですか!?
「こんな簡単なことなんです、実は!」
●本当に簡単ですね!
「私はそれを、毎朝おちょこ1杯、4年間ぐらい飲んでるんですけど、やっぱりね、元気になる。お肌の調子とかもよくなりますしね。コウジ酸っていう、メラニン色素を抑えてくれる、麹からしか出来ないものがあるんですけど、米麹を使っているからそれが豊富に入っているんですね。なので、おそらく美肌とか美白とかにもつながるんです」
●確かに富永さん、お肌の透明感すごいですもんね! ずっと思ってたんですよ、お会いした時から“すごい透明感だなぁ…”って!
「そんな目を見開かれると恥ずかしい(笑)」
●それはじゃあ、甘酒効果っていうことですかね?
「多分。腸の調子もよくなるから、お通じもよくなるんですよね。そうするとお肌にもよくなるんです。甘酒って、すごいんだよ。アミノ酸が20種類も入っているんですよ。その中に“必須アミノ酸”って言って、食べ物から摂ることができないアミノ酸が9種類あるんですけど、それが全部含まれているの!」
●え〜!!
「本当に優れている。だから、“飲む点滴”って言われているんですよね」
●あ〜、そういうことなんですね!
※他には、どんなおすすめのレシピがあるのでしょうか?
「塩麹とか甘酒とかは、お野菜とかをあえたりドレッシング代わりにもすごくいいんです! お塩の代わりに塩麹を使うと、旨味とかちょっと甘みも加わるから、私は塩麹とヨーグルトを少しと、オリーブオイルとお酢、あとは粗びき黒コショウとかをキュウリやトマトにあえたりしますね。ちょっと甘酒も入れるとまた甘さが加わります。そこにマグロとかサーモンを角切りにしたものを混ぜておかずにしたりもします。そうすると、調味料も全て生なので、酵素が摂れるんですね。自分たちの体の中にある酵素って、年々減っていっちゃうの」
●怖い怖い。
一同「(笑)」
「残念ながら、歳とともに! だから補わなきゃいけないんですよ。酵素がないと生きていけないの。なので、“生野菜を食べましょう”とか言われるのは、そういうことなんです。そこに、この発酵調味料を、火を使わずに入れることで、酵素をより摂れるから、それも元気につながります」
●今、ちょうど私の家の冷蔵庫に塩麹があるので、さっそくやってみます!
「今までは漬け床とか、そういうイメージがあったじゃないですか。だけど、例えばカレーを作って温めて、火を止めた後に、最後にちょっと塩麹を入れるとかでもいいんです。60度ぐらいに下がってきたなと思った時に塩麹を入れて、ちょっと旨味を加えるっていうことでも構わないし、私は卵かけご飯にも塩麹を使いますね」
●へぇ〜、そうなんですか!
「ご飯に卵を割って、塩麹を大さじ1くらい加えて、ガァーっと混ぜて食べる。意外と美味しいよ! 塩味と旨味と、ちょっと甘いの」
●それ、簡単だしいいですね! ほかにも発酵食品のヒントやレシピが、先ごろ富永さんが出された本にはいっぱい詰まっているんですよね!
「そうですね。レシピも、20年近く主婦をしていると、簡単なものしか残っていないんですよ。だから、例えば作り方の工程で、“Aを全部混ぜる。それだけ!”とかもあります(笑)」
●それなら簡単でいいですね!
では最後に、富永さんは現在、環境省が進めている“つなげよう、支えよう 森里川海プロジェクト”のアンバサダーにも就任されたということなのですが、どんな活動をされているのかを教えていただけますか?
「はい、夫のまこっちゃんと一緒に、山や森での暮らしとか、西伊豆の戸田の里山、里海に近いところでの暮らしといったものを発信していくことがひとつですね。
あとは、森、里、川、海って全部つながっているんですよね。間伐などもして森がきちんと健康だと、災害が起きにくく、また、健康だと森のミネラルが川を伝って、その川が流れているところに里山があって、そこで田んぼとか畑を潤す。川には魚がいる。海に到達すると、森のミネラルが海の魚とか貝とか海藻を育てる。全部つながっていて、私たちもそのサイクルの一部なんですね。
それこそ、生態系って習ったじゃないですか。“三角のピラミッドがあって、その頂点に人間がいる”っていう感覚になっている部分もあったかもしれないですけど、実はそうではないと、自然のそばで暮らしながら動物や植物を見ていて思ったんです。“三角じゃなくて、実は丸で、その丸のサイクルの中に私たち人間もいるんだ”っていうことを広めてね、と(環境省からも)言われてます」
一同「(笑)」
●でも、実際に森にも海にも、そして都会にも、3箇所に住んでいる人ってなかなかいらっしゃらないですよね。なので富永さんの場合は、“海が良ければそれでいい”“森がよければそれでいい”とはならないですよね。
「森が元気じゃないと、海の魚が獲れないんですよ。今、実際に友だちの漁師さんが“前より魚が獲れない”ってすごく言っている。戸田の海も、昔は岸壁からカツオとかが釣れたんですよ。でも今は、前より釣れないんですね。なので、やっぱりこのサイクルが崩れてきているなと、周りの話からもすごく実感していますし、都会にいると“ここが全てだ”と思いがちかも知れないですけど、いろんなところで経験させていただいている私たちが、そういったいろんなエリアを繋げていけるようになれれば、恩返しができるのかなって思ったりもしますね」
富永さんに教えて頂いた塩麹ドレッシングを早速作ってみたんですが、とっても簡単! 味も美味しくて、旦那さんにも好評でした。私は今まで塩麹といえばお肉に漬け込むだけだったので、こんな風に色々使えると思うと、これからもっと気軽に発酵食を取り入れられそうです。
アントレックス / 税込価格596円
発酵マイスターでもある、富永さんの新刊には甘酒を使った健康レシピほか、麹や納豆、味噌や酒粕のレシピを紹介。富永さんが実際に自分で作って食べて、そして美味しくて健康にいい発酵食が満載! 全国のファミリーマートで絶賛発売中です!
近況も含め、詳しくは富永さんのオフィシャル・サイトをご覧ください。
また、富永さんがアンバサダーに就任された「つなげよう、支えよう 森里川海プロジェクト」については、環境省の専用サイトを見てください。