今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンは、総集編「ベスト・オブ・ザ・フリントストーン2017」の第1弾! 今年の上半期1月から6月の間に出演してくださったゲストの中から、また聴きたいインタビューを再放送します。
今回は、自然の中で遊ぶことの大切さや、何歳になっても挑戦する、その思いなどをお送りします!
※まず最初にご登場いただくのは、今年2月に出演してくだった“尾木ママ”こと、教育評論家の尾木直樹(おぎ・なおき)さんです。
実は尾木さんはスキーやキャンプが大好きな「ワイルド派」なんです! そんな尾木ママが『尾木ママ流自然教育論』という本を出されたので、お話をうかがいました。
今、子どもたちが大変なことになっているそうです。
「これは本当に大変なことなんですよ。年配の方は聞いて呆れると思うんですけど、“子どもロコモ症候群”という現象が起きているんです。“ロコモティブ・シンドローム”はご存知だと思いますが、ご老人になると、手を上に“バンザイ”して上げることが出来なかったり、硬直してスムーズに動かないということがありますよね。それが子ども、特に小学生から中学生の間で起こるようになっているんですよ」
●本来は歳を重ねて筋力が落ちてくるから起こることですよね。子どもなんて一番体力がありそうだと思っていたので、信じられないです。
「ところが全然そうじゃないんです。だから保育園や幼稚園でも、運動会の前に“転ぶ練習”をするのよ。手を出さないと転んじゃいますから、歯を折ったり鼻を骨折したり、すごく大変です。なので“転ぶ時は皆さん、手を出しましょう! はい、いっせーの、せっ!”って練習するの。
それと、もう1つおかしいことがあって、“カーブを曲がれない”子どもがいるんですよ。校庭のトラックにはコーナーがありますよね。第1コーナーで“曲がろう”とした時、曲がれる子もいますが、曲がれない子はそのまままっすぐ行ってしまいます。なので、みんな引っかかって交差するように転ぶんです。だから、左に曲がる時は体をちょっと左に傾けて、外側の腕は内側よりも少し大きく振り回す練習をするんです。それでようやく曲がれるようになるんですよ。
そういうのは本能だと思っていたんですが、実は小さいころに鬼ごっこをやったり、はないちもんめをやったりと色々な遊びをして動き回るじゃないですか。その中で素早く曲がったりする能力が身についているんですよ」
●知らない間に私たちはそういうことを学習していたんですね!
「そうなんですよ! どこかの教室に通ったり、お稽古ごとをするのも悪くはないですけど、そればっかりやっていると、そういった能力が身についていかないので、今こういった事態が起こっているんです。それを受けて、それまで行なってきた座高の調査やギョウ虫検査などは止めて、文科省が今年度から小学校から高校までを対象に“運動器調査”というのを始めたんです。
なぜ始めたかというと、1年前に埼玉県のとあるお医者さんが中学生全員に行なったある調査がきっかけです。その資料によりますと、例えば目が開いている状態で、片足立ちを5秒以上出来ない子が7パーセントいたんです。また、ある先生から聞いたんですけど、30数名いる教室で、“はい、しゃがんで”と先生が言ったら、1人しかしゃがめなかったの。他の子は全員後ろに倒れちゃったの。しかも“高校生でもそうなんですよ”って言うので、ビックリしました。手をリズミカルに交互に“グー”“パー”と出来ない子は20.3パーセントもいました」
●2割もいたんですか!?
「この調査では5種類だったのですが、文科省の実施する調査では調査項目が6種類あり、この中で1つも出来なかった子が、なんと51.7パーセントもいるんですよ。こういう結果が出たので、緊急で全国一斉調査を始めることになりました。大きなニュースになると思います。学力競争ばかりやっているけど、そもそも教育の前提が崩れてしまっているんですよね」
※子どもにとって大事な自然体験。しかし実は、大人にとっても大事なんです。
続いては、3月に出演してくださった寒川 一(さんがわ・はじめ)さんです。寒川さんはアウトドアの経験を防災に活かす体験型プログラム「STEP CAMP」を提唱し、活動されています。
いざという時、アウトドアの知識や経験がどんな風に役に立つのでしょう。
「アウトドアは、簡単に言うと“衣・食・住”そのものなんです。ライフラインが全くない場所で、暮らしを立てるということですね。テントやシュラフ、調理具など、色々なキャンプ道具がありますが、その全てがとても長い年月をかけて様々な技術が導入され、コンパクトになり、丈夫で故障も少なくなっています。“こんなに優れている道具は他にないんじゃないか”と思うほど、アウトドアの道具は“人の英知を結集したもの”だと思っています。次々と色々な道具が出てくるので、まるでドラえもんのようですよ(笑)。これらの道具をどう使えるのか、もしくはないときにどうやってリカヴァーできるのか、といった考え方を学べるのが、アウトドアの世界だと思います」
●確かに、電気が止まっている中で、自分で火を起こして、自分で寝床をつくるということは、アウトドアに繋がっている部分もありますね。
「そうですね。ただ、災害時と違う点は、“楽しくやる”のがアウトドア。“防災”などの言葉が出てきてしまうと、“訓練”というイメージになってしまいます。また、アウトドアというと、“誰かが何かをしてくれる”というイメージがあるのですが、実は全て“自主性”なんです。自分でテントを立てたり、ご飯を作ったり、火を起こしたりするわけですから、主役は“自分”なんです。
また、自然の中でそのようなことをするので、自分の思うようにいかないことがあります。いくら計画を立てて準備をしても、コテンパンにやられることもあるんです(笑)。それがまた、次のための知識や経験になっていくんですね。“次はこうしてみよう、ああしてみよう”といった、“トライ・アンド・エラー”を重ねていくんです。アウトドアは、“これができたから合格”というものではなく、“答えのない遊び”なのではないかと思っています」
●ということは、アウトドアとして楽しく学ぶほうが、防災として学ぶよりも、いいのではないでしょうか?
「そうなんです。実は“楽しみながら備えられる”ことが、僕らのコンセプトなんです。災害当初は、このことがなかなか言えなかったんです。今なお、たくさんの方が苦しまれているという状況の中、“楽しむ”という言葉はすごく使いづらかったのですが、そこをあえて“楽しいからこそ始めてみる”“楽しいからこそ続けられる”、これを1つの“趣味”にしていただければいいかなと思います」
※次にご紹介するのは、4月の第1週に出てくださった、冒険ライダー・風間深志(かざま・しんじ)さん、晋之介(しんのすけ)さん親子です。今年1月に南米で行なわれた「ダカールラリー」に、お父さんはチーム「SPIRIT OF KAZAMA」の監督として、息子さんはライダーとして初参戦し、見事完走! 二輪部門で“親子二世代完走”という、日本初の快挙を成し遂げました。
実はこのレース、決められた区間の中でゴールまでのルートは自分で決めるんです。どんなふうに決めているのでしょうか。
●実は以前、私はヨット部に所属していまして、ヨットでは海上でナビゲーションする際に、コンパスを使って方角を決めてから航路を決めていたのですが、バイクはどうやって進路を決めてたんですか?
晋之介さん「バイクでもコンパスを使います。デジタルのコンパスなのですが、例えば“86キロ地点を右の方角に50度”と判断することもあります。ほかのバイクが走って、道のようになっているところをたどったりすることも多いです。
また、川底は何本も分かれていることがあって、(マップに)何も表示されないこともあるんです。その場合は、自分よりも前に走って行った人のタイヤの跡をたどっていきます。
トップで走っている人たちは、これまでの経験やコースを作っている人の“癖”を読んで、“ここを進んで行けばいいはずだ”と判断して進んで行くんですね。でも、これはすごく難しいですね。その判断が間違うことも当然あり、僕が走っていると正面から他の選手のバイクが来て、すれ違うこともあるんですよ」
●コースを戻ってしまっているんですね(笑)。
晋之介さん「同じレースをしていて、同じ方向に進んでいるはずなのに、逆から他の選手のバイクが来るんですよ」
●そういう時は、“あいつ、やっちゃったな”と思いながら見送っているんですか?
深志さん「いや、どっちが正しい道を走っているかはわからないんですよ。自分も同じ“罠”に陥ってコースを逆走しているかもしれないからね」
●レースというよりも、冒険のようですね。
深志さん「だからダカールラリーは、昔から“冒険ラリー”と呼ばれているんだよね。冒険要素が多いから、それがまたおもしろいんだよね。そこが単なるスプリントレースとは違って、一般の人たちが関心を持ってくれたり“頑張ってね!”と言ってくれる要因だね。結構命がけなんですよね。
例えば、どうやって伝書鳩はもとの場所に帰ってくるのか不思議に思うけど、その不思議さを僕らもバイクを通じて体験しているんだよ。サケも母川に帰って来るよね。アリューシャンの方から何千キロも泳いで気仙沼やいろいろな川に帰っていくけど、一体どうやって帰っているんだろうと思うよね。けど、サケができるんだったら、人間にもできるはずなんだよ。その時に必要な感性や本能が試される部分もあるから、ダカールラリーはおもしろい!」
●レースを進めていくにつれて、自分の感性が研ぎ澄まされていくような感覚はあるんですか?
晋之介さん「レースも後半になるにつれて、コースの読み方が鋭くなっていくので楽になりますね」
深志さん「トレーニングをする場合も、都会にいて会社を往復するだけの生活じゃ絶対によくならないよ。トレイルランニングに行ったり、自然の中に行って遠くを見たり、ヨットに乗ったりと、いろいろな経験を積んでいくことで、ナビゲーション能力が研ぎ澄まされていくんだよね。だからアウトドアはおもしろい!」
晋之介さん「昔、800段くらい階段がある神社でトレーニングを、毎日1時間半くらいしていたんですが、夕方になると真っ暗になって、そうすると鳥や猿の鳴き声、風で木がざわめく音や水が流れる音など、普段聴こえない音に対してめちゃくちゃ敏感になるんですよ。そのような自然の中でトレーニングをして、自分の体の先端まで意識を高めていくと、研ぎ澄まされて見えてくるものがありますね」
深志さん「いい話するね! すばらしいね、晋之介さん!」
※実は風間親子は、来年2018年1月6日にスタートする、第40回「ダカールラリー」に再び挑戦するんです! そこでチーム「SPIRIT OF KAZAMA」の監督、風間深志さんに電話で意気込みなどをうかがいました。
●風間さーん?
「やっほー!」
●やっほー(笑)! 出発前の準備でお忙しいところ、すみません!
「いえいえ、わざわざ電話をしていただきまして、ありがとうございます」
●早速なんですけれども、今回、親子で再挑戦するダカールラリーなんですが、どんな思いがありますか?
「きのう、気が付いたんだけどね、普通、“じゃあ今度は、50位以内とか40位以内(を目指そう)”とかっていう話になるんだけど、実はね、ダカールラリーの魅力のひとつっていうのは、スッゲー自然がいっぱいあることなんだよね。前回とは違うコースで、今回はペルーからアルゼンチンに至る、1万キロのコースなんですね。そういうところに挑んでいくっていうのは、ランクや順位ではなくって、その自然の中に、いかに謙虚に入っていって、精一杯そこで安全に、自分らしいベストを尽くしてくるか、っていうことなんだと、きのう思ったんだ」
●なるほど。今回、私がすごくびっくりしたのは(出場する風間晋之介さんが付ける)ゼッケン番号が81番なんですよね。
「そうなんですよ! 何ででしょうかね、神様は“いい”イタズラをしてくれますね」
●風間深志さんが1982年に日本人として、初めてパリダカに出場した時のゼッケン番号と同じということで、晋之介さんのお父さんとしては、どうですか?
「いや〜、これは、何じゃらほいって感じではあるけど、嬉しいですよ! ものすごく嬉しい(笑)! 神様の嬉しいイタズラかなと思いますけど、もしかしたら、外国から日本に電話をかける時に使う、日本の“国番号”が“81”じゃん? 単にそういうことなのかな(笑)。まぁでも、多分ね、1982年に日本人で最初に出た人の息子だってことは、(主催者側も)わかっているので、意図的に割り振ってくれたんだと理解しています。嬉しいです」
●そのあたりも、運命的なものを感じて楽しみです! 風間さん親子の活躍を応援しています!
「みなさんの声援が力になっているんで、ぜひ、応援よろしくお願いします!」
※最後は、何歳になっても挑戦し続けるこの方に、ご登場いただきましょう。
2013年80歳で3度目のエベレスト登頂に成功し、世界最高齢の登頂記録を塗り替えた冒険家・三浦雄一郎(みうら・ゆういちろう)さん。6月に出演してくださった三浦さんは、なんと来年2018年、85歳で世界第6位の山、チョー・オユー(8,201メートル)に挑戦するために、トレーニングを行なっているんです。
そのあくなき挑戦のモチベーションは一体、どこからくるのでしょう?
「僕の周りで、“歳だからダメだ”と諦めていたり、“おじいちゃん、無理しないで”という言葉に従っている人たちは、どんどん体が衰えていっています。なので、何歳になっても、“生涯現役”という気持ちで仕事や運動を続けていくということが大事だと思います」
●三浦さんがおっしゃると、とても説得力があります! 三浦さんは来年、標高8,201メートルのチョー・オユーという、世界第6位の山に登る予定とのことですが、いつ頃でしょうか?
「来年2018年の秋を予定しています。6月から9月ぐらいまでは、ずっと吹雪だったり雪が降っていますから、その雪がしっかり積もった後に登って、スキーで滑る予定です」
●今のところ、頂上まで登れそうですか?
「この前5,000メートルまで登りましたが、酸素の補給なしで、一回も高山病にかかりませんでした。今後はまた、片足に5キロずつ、背中に20キロの重りを背負って歩いて、もう一度足腰を鍛え直そうと思っています」
●90歳の時に、またエベレストに登るという噂を聞いたんですが、それについてはいかがでしょうか?
「90歳まで生きているかどうかはわからないですが(笑)、もし90歳まで元気で生きているなら、そういう目標を立てて、さらに鍛え直してみたいなと思っています。ただし現在、ネパールや中国などは、ヒマラヤやエベレストの登山に年齢制限を設けようとしているようです」
●そうなんですか!?
「なので、そのうちエベレストも、65歳以上は登ってはいけないという制限が設けられるかもしれません。そういった年齢制限の壁がありますので、そこはなんとか超えたいと思っています」
●毎回、三浦さんの挑戦を見ていると、“自分もまだまだ諦めちゃいけない”“年齢を言い訳にしてはいけないな”と強く感じます。三浦さんにとって、ヒマラヤの魅力はどこにあるんでしょうか?
「世界最高の景色ですよ。まさに“神々の世界”です。それを見てみたい。できたらチョー・オユーに行ってみたい。これは大きな願望のひとつなんですけど」
●その山頂に立って、その景色を見た時、どんな気持ちになるんでしょうね。
「“とうとう、ここまで来たか”とは思いますね。ただ、山頂まで登るよりも、下山するほうが大変なんです。死ぬほうが楽なくらい苦しいんですけれど、なんとか生きて帰りたいと思います。そういうことも含めて、やってみたいと思っています」
●生きて帰ってこその、目標達成なんですよね。では最後に、リスナーの皆さんもそれぞれの“山”を登っていると思いますので、三浦さんから応援のメッセージをぜひ、よろしくお願いします!
「義務感や“しなきゃいけない”という気持ちではなく、自分が“面白い!”“楽しみだ!”“どうしてもやりたいんだ!”という気持ちで、何歳になっても挑戦して欲しいなと思います」
尾木ママは著書『尾木ママ流自然教育論』の中で自然の中で遊ぶことの大切さを提唱しています。今回、再登場していただいた方たちはみんな、自然の中で本気で遊んでいますよね。だから人間力が高くて、どのメッセージも胸に響くのかもしれません。
今回、再登場いただいた方々の最新情報などは、下記のサイトをご覧ください。