2018年2月24日

シリーズ「縄文人のLIFE STYLEに学ぶ」第3弾
〜現代人の悩み、縄文人に聞いてみよう!〜

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンは、シリーズ「縄文人のLIFE STYLEに学ぶ」第3弾!

 スタジオ・ゲストには、縄文時代をテーマにしたフリーペーパー『縄文ZINE』の編集長・望月昭秀(もちづき・あきひで)さんをお迎えします。
 さらに、縄文人の道具、石の斧だけで家をつくる大工・雨宮国広(あめみや・くにひろ)さんにも、電話でお話をうかがいます。

 そして今回は、フリーペーパー『縄文ZINE』の1号から4号までをまとめた本を2名の方にプレゼントします! 詳しくはコチラ!

縄文人に相談だ!

※望月さんは1972年、静岡生まれ。現在、デザイン事務所の代表として活躍中。縄文好きが高じて、2015年からフリーペーパー『縄文ZINE』を発行。縄文愛あふれるユニークなコンテンツと、お洒落でセンスのいいデザインから、メディアでも取り上げられ話題になっています。また先ごろ、『縄文人に相談だ』という本も出版されました。
 まずは、そんな望月さんと“縄文的な思考”で、私たち現代人のライフスタイルを考えていきましょう! その前に、そもそも望月さんは一体、縄文時代のどんな所に惹かれたのでしょうか?

「そうですね……縄文時代ってすごく昔のことで、ただ文字がないだけで、考古資料とかはたくさんあるんですよ。そこがまた、ちょっとしたミステリー小説みたいな感じですごく面白かったり、そこから垣間みえてくる、縄文人の人情深さとか、優しい人たちというか、“面白い人たちだなぁ”っていうのがちょこちょこ見えてくるので、そこがまた、たまらない! っていうのはありますね」

●縄文人は優しい人たちなんですね!

「たぶん、そうだと思いますね。1万年以上の間、それほど大きな争いもなかったんですよ。 “縄文ユートピア論”とか言われるんですけど、たとえ小競り合いとかはあったとしても、大きな争いがないってことは、やっぱり平和な心持ちの人が多かったんだと思うんですよね」

●実はこの番組では以前、加曽利貝塚を取材させていただいたことがあるんですが、その時に、“あの同じ場所に2000年以上、人々が暮らしていた”ということがわかったんですよ。それだけ長く暮らせていたっていうのは、本当にすごいなと思いました!

「やっぱりそれって、長く続けられるような、人間の生理に合った習慣だったり、哲学みたいなものがあったと思うんですよね。だからこそ、同じような文化をずっと続けていられたんじゃないかな、と思ったりしますね」

●なので、そこに私たちが学ぶべきことがたくさんあるんじゃないかな、と思っているんですよ! 実は、望月さんは新刊『縄文人に相談だ』という本の中で、縄文人になり代わって、私たち現代人の質問に答えてくださっているんですよね!

「はい、そういう企画で本を出しています」

●個人的にもすっごく面白いので、ぜひ、この中からいくつか紹介をさせていただきたいなと思います! ここからは私が“現代人代表”として、“縄文人のフリをした”望月さんに質問をさせていただきますので、回答をお願いします。
 まず1番目は、私も悩みですよ……“お金が! お金がなかなか貯まりません!”これ、縄文的にはどうですか?

「いや〜、そもそも縄文時代にはお金がないんですよね」

●そうなんですか!? なんか、石のお金とかありそうな気がするんですけれど、そういうのもなかったんですか?

「石のお金があったのは多分、ミクロネシアとか、そっちの方にすごく巨大なお金があったりして、“あんなのポケットに入れられないだろ!”っていうぐらいデカいやつなんですよ。縄文時代には、基本的にお金はないので全然、今と概念が違うんですね」

●それじゃあ、物のやりとりとかは、どういうふうにしていたんですかね?

「最近、イベントで物々交換をやったりしているんですね。そうすると面白いのが、絶対に損したくない人と、得したくない人、そしてそれも超えて、参加したいだけっていう人ももちろんいて、だいたい3パターンに分かれるんですね。ただやっぱり、ちょっと目劣りするものを交換していくっていう人ももちろんいますけど、そうなるとスタッフ一同、ブーイングというか(笑)。
 要するに、その人の株がすごく下がるんですよ。なので、お金っていうものは介していないんですけれど、信頼とか、好意とか、仲間意識みたいなものは、確実に交換していると思うんですね。それって、今より集団が小さかった縄文時代にとっては、すごく重要なことだったんじゃないかなと思うんですよ。やっぱり人って、信用されたいじゃないですか。お金っていうものがない代わりに、尊敬だったり、自分自身の価値はすごく周りからも感じられていたところはあったと思うんですよね。なので、そういうところってすごく面白いなと思ったりしますね」

●そっかぁ……。じゃあ、お金が貯まらない私は、価値を貯めればいいんですかね?

「そうですね(笑)。いや、でも、お金の使い方でも、尊敬される使い方やそうでもない使い方はいっぱいあると思うんで、そういうところでも結構人って試されるんだなと思うと、物々交換をするのもちょっと恐ろしくなりますよね」

“寅さん”的な生き方

※続いて、“なかなか就職しない人が周りにいて、心配です!”という質問。縄文的にはこれ、どう捉えるのか、聞いてみましょう。

「“バックパッカーだった友達が、なかなかバックパッカーの生活をやめずに、就職をしない”と(いう相談があったんですが)、映画『男はつらいよ』に出てくる“寅さん”って人がいるじゃないですか。寅さんって就職しないんですよ。あの人はやっぱり、“フーテンの寅”ですからね。
 この本の中では、就職のことを“稲作”と言ったりしているんですが、寅さんは決して稲作をしないんですね。でも、そういう、稲作をしないで自分の人生を選んでいる、っていうところが、寅さんが今でもみんなに人気で、48作も作品が作られるような映画になったんだと思っているんです。なので“実際に自分の選びたい人生を選んでいる友達のことを誇りに思って、土産話を楽しみにしてみてはどうでしょうか?”と質問に答えています」

●実際に、縄文時代から弥生時代に変わる時に、稲作になるわけですよね。その時に全員、“よし、じゃあもう効率の悪い狩りなんかやめて、きょうからみんなで稲作をしようぜ!”っていう感じで一斉に変わったんですかね?

「いや、そんなことはないんですよね。弥生と縄文ってパッキリ分かれているように勘違いするかもしれないんですけれど、やっぱりその間にはグラデーションがあって、弥生が一気に盛んになった西日本に比べて、東日本のほうはなかなか始めなかったり、弥生と縄文が同居していたりする地域ももちろんあったりしたんです。北海道とかも全然、稲作を始めませんでした」

●じゃあ、中には色々と葛藤があったでしょうね。“あなた! お隣さんは稲作しているのに、うちはいつまでも狩りをしてていいの!?”みたいな(笑)。

「あったと思いますね! あと“モテるか、モテないか”っていうのもあったかもしれないですね。“安定したい”と思う女性の方もいるわけじゃないですか」

●“やっぱり、結婚するなら稲作の人の方がいいわ”とか!

「“寅さんはちょっと……”っていうのは、あるかもしれないですね」

●じゃあ多様性というか、もしかしたら就職していない人も、それがこれからは主流になるかもしれないですし、そう思うと、いろんな形があってもいいかもしれませんね。

「もちろん、そうだと思いますね」

●じゃあ、次の質問に行きましょう! “めちゃくちゃ忙しいんです。どうすればいいんですか?”

「縄文時代は、一説によると“4時間ぐらいしか働いていなかった”と言われているんですね。実際は仕事とか遊びっていうのは分かれているわけではないじゃないですか。会社もあるわけじゃないですし、就職もするわけではないので、“働いている”とか“生活をしている”という部分にも、すごくグラデーションがあるんですよ。なので、そんなに忙しくする必要ないんじゃないか、ということを言いたいんですね。
 現代ってテクノロジーがすごく発展しているじゃないですか。そのテクノロジーってやっぱり、生活を豊かにするなどといった役割があると思うんですが、それなのに、なんでこんなに忙しくなっちゃったんだろう、っていう疑問を感じたりしませんかね? っていうことなんですよ」

●そうなんですよ! 楽になっているはずなのに、なんでこんなに忙しいんですか(笑)?

「スマホも何もない時代である縄文時代が、そんなに忙しくないのに、現代はなんでこんなに、寝る時間もなくなっちゃうような感じになっちゃうのかな、という疑問の形で、(この質問の答えについては)終わっていますね。全然、答えになっていないんですけれど(笑)」

縄文人は、地元LOVE!?

※縄文人は儀礼など、物事の節目節目をすごく大切にしていたそうなんです。私たちにお馴染みの貝塚も、ゴミを捨てる場所だけではなく、儀礼の場としても重要な意味を持っていたそうですよ。

「貝塚っていうのが儀礼の場だったということですが、使い終わった物だったり、食べ終わった骨や貝殻だったりとかは(確かに)貝塚に捨てているんですね。ただ、現代人の感覚では“捨てている”なんですけれど、彼らにとっては“送っている”という感覚だったと思うんですよ。もちろん、私は縄文人ではないので、はっきりしたことは言えないんですけれど、いろんな民族事例とかを見ると、“送りの儀式”っていうのは結構やっていてですね、使い終わった物などがもう一度還ってきてくれるように、神の世界に送るっていう儀礼をしているんですね。それが縄文時代の綺麗な“輪”になっていって、循環型社会っていうのはそこでつくられていったんじゃないかな、と思っているんです」

●なんだか、すごく素敵な考えですね。わたしたち現代人もそういうマインドを持った方がいいですかね?

「そうですね。物をどんどん使い捨てていっちゃうと、その物自体の価値もどんどんなくなっていっちゃうような気がするんですよね。物と一緒に過ごす時間だったり、一つの物でも、それに思い出みたいなものができたら、すごく大切になると思います。そして、それが使えなくなっちゃったりしたら、それをもう一度“送って”、また戻ってきてくれるというような、そういう感覚はどこかにあると思うんですよね。長く時間を過ごした物がなかなか捨てられないっていうのは、そういうことだと思うんです」

●ちょっと忘れちゃっているだけで、私たちの中にはそういう、縄文人のDNAのようなものが眠っているんですかね?

「絶対にあると思いますね!」

●じゃあ、そんな縄文人のDNAを呼び起こすために、縄文を感じられるオススメの場所とかってありますか?

「千葉県は貝塚天国というか、千葉県内だけで500箇所以上の貝塚があるんです。これはもう、全国で一番多いですね。なので、もしかしたら自宅のすぐ近くを調べてみたら貝塚があったりとかも、結構あると思います」

●今、望月さんが注目している場所っていうのはありますか?

「今ちょうど発掘調査しているのが、船橋市にある“取掛西貝塚(とりかけにしかいづか)”っていう貝塚で、ここは縄文早期の貝塚で、住居跡もその当時のままで、貝塚を伴う住居では国内で最大クラスの重要な貝塚なんですね」

●どんなものが出土しそうかは、今の段階で分かっていますか?

「神奈川県と共通している土器が出ていたりしているので、そこと交易があったんじゃないかとか、ここまで大きな縄文早期の住居跡はそれほどなかったので、そこでの生活ってどういう感じだったのかな、というのが取掛西貝塚の調査が進むにつれてわかってくるんじゃないかなと思って、みんなが注目している場所ではありますね。縄文はすごい地元LOVEな文化なので、なるべく家から近いところを見るっていうのが、縄文に近づける一番いい方法かなと思います」

●縄文人は地元LOVEなんですね!

「縄文はすごい地元LOVEですね。土器には文様があるじゃないですか。文様っていうのは、地域ごとに分かれているんですよ。なので、“自分たちはこの文様でいくんだ!”っていうのがはっきりとみて取れるんですね。ということは、地元を愛してるっていうことなんですよね。それはやっぱり、自分たちの地元をすごくアイデンティティとして持っていたんじゃないかな、と思うんです」

●それも縄文が長く続いた、ひとつの秘訣だったりするんですかね?

「絶対、そうだと思いますね」


これは「土偶のポーズ」です(笑)

まさに、“現代に生きる縄文人”!

※続いてご登場いただくのは、縄文人の道具、石の斧だけで家をつくる大工さん・雨宮国広(あめみや・くにひろ)さんです。

 山梨県甲州市生まれの雨宮さんは、先人の手仕事に感動し、機械を使わず、昔ながらの道具だけで家を建てる伝統的なやりかたに情熱を傾け、石の斧に出会ってからは、縄文時代の物づくりを通して、人間の暮らしのあり方を提唱しています。
 そんな雨宮さんは、石川県能登町(のとちょう)にある縄文遺跡「真脇(まわき)遺跡」に、2年がかりで縄文式の家を復元しました。一体どんな家なのでしょうか? 電話でお話をうかがっていきます!

●お久しぶりです! 雨宮さん、早速なんですけれど、石川県能登町の真脇遺跡に、縄文時代の竪穴式住居を造っちゃったみたいですね! どれくらいの大きさなんですか?

「大きさは14畳ぐらいありまして、2階建てなんですよ。ロフト付き。そして、世界最先端の家!」

●世界最先端!?って、どういうことですか?

「自然の恵み、自然のエネルギーだけで、夏は涼しく、冬は暖かい、そういう家ですね。そして家の中で食べるものも貯蔵できたり、燻製にしたり、いろんなものを作ることもでき、家族が火を囲んでいつも団らんして“輪”が生まれる、そういう空間ですね。私も石の道具に出合う前は、ただの石ころだと思っていましたけど、もう石斧一本で何でもできます!」

●今回のその竪穴式住居は全て石斧で造られたんですか?

「ええ、基本的にほとんど石の道具でやりまして、全て石の道具だけで造れる構造になっています」

●2階建てということですが、骨組みみたいなところはどういうふうにして造ったんですか?

「みなさんは竪穴式住居って聞くと、縄で縛るっていうイメージがあると思いますけど、今の木造の伝統技術、縄を使わないで、柱と梁(はり)を、穴とほぞで差し込んでやる方法ですね」

●それでできるもんなんですねぇ……! 資材はどういうものを使ったんですか?

「材料は近くの森から栗の木を使いました。縄文時代も実際に栗の木がいっぱい使われているんですね。そして、水に強いんですよ。耐久力があるんですね」

●地産地消というか、地元にあるもので、地元の人たちと一緒に造ったんですよね?

「そうなんです! 全国からも、いろんなところから来てくれました。たくさんの人と楽しく仲良く造らせていただきましたよ!」

●参加した皆さんはどんな感想でした?

「もう、“目から鱗!”という感じでしたね。“こんなに石斧が切れる、すごい道具だとは思わなかった!”ってみんなやっぱり言いますね」

●雨宮さんは住居造りにとどまることなく、来年2019年の9月になんと、縄文人になって冒険をする計画を立てているというお話もうかがったんですが、どういうことなんでしょうか!?

「簡単に、手短に言いますと、私の故郷である山梨から、縄文小屋を作った石川県能登町の真脇遺跡まで裸足で歩いて行くんです。そしてその途中、3万年前の技術で丸太の木をくり抜いて丸木舟を作って、その丸木舟を使って糸魚川(いといがわ)から富山湾を沿岸に沿って航海もします。縄文的移動方式でやってみよう、という冒険ですね」

●そんなこと、できるんですか!?

「私も不安いっぱいなんですが、できるだけ自分の人間力を引き出すような暮らしをしながら、今は準備をしています」

●人間力、ですか……。気になりますね、その“人間力”!

「人間の生きる力や、自然と共存・共栄していく、そういうところをいっぱい引き出せたらいいなと思うんですけどね」

●じゃあ、ぜひこの番組で伝えていただけたらと思います!

「はい、楽しみにしています!」

※この他の雨宮国広さんのトークもご覧下さい

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 縄文時代の三大無いもの「文字、お金、ゴミ」。そのキーワードは「価値」なのかな、と思いました。物を大切に使い価値を上げ、お金の代わりに価値を貯める。縄文人には学ぶべきことが、まだまだありそうですね。

※この他の「“縄文人のLIFE STYLEに学ぶ”」のシリーズもご覧下さい

INFORMATION

『縄文人に相談だ』

新刊『縄文人に相談だ

 国書刊行会/ 税込価格 1,620円

 現代と縄文の融合を目指した一冊。読者からのお悩みやトラブルを、縄文思考で回答。マンガもあって、ゆる〜く読めます。読み進むうちに、縄文時代に詳しくなること、うけあい! この本であなたも縄文人!?
詳しくは、国書刊行会のオフィシャルサイトをご覧ください。

『縄文ZINE』

縄文ZINE

 望月さんが編集長を務めるフリーペーパー『縄文ZINE』。現在、配布してくださるお店などを募集中です。「うちのお店に置いてもいいよ!」というかたは、ぜひ縄文ZINEのサイトをご覧ください。

<『縄文ZINE』プレゼントの応募要項>
 今回、フリーペーパー『縄文ZINE』の1号から4号までをまとめた本を、1人1冊、合計2名の方にプレゼントします!
 メールのタイトルに、「縄文」と明記の上、あなたの住所、氏名、年齢、職業、電話番号、そしてぜひ番組へのご意見、ご要望も添えて、flint@bayfm.co.jpまで送ってください。
 応募の締め切りは3月1日(木)。当選は発送をもって代えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています!

応募は締め切りました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「(MEET) THE FLINTSTONES / THE B-52's」

M1. Life goes on / Dragon Ash

M2. CAN'T BUY ME LOVE / THE BEATLES

M3. TAKE IT EASY / EAGLES

M4. 前前前世(movie ver.) / RADWIMPS

M5. 3 THINGS / JASON MRAZ

M6. さすらい / 奥田民生

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」