2018年8月4日

旅は世界最大の学校!!
〜生きるって、なに?〜

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、旅人・エッセイストの、たかのてるこさんです。

 たかのさんは「世界中の人と仲良くなれる!」と信じて世界を駆ける旅人で、数々の紀行エッセイを出版。中でも2002年に発表した本『ガンジス河でバタフライ』がベストセラーを記録。老若男女の旅のバイブルとなり、宮藤官九郎さん脚本、長澤まさみさん主演でテレビ・ドラマにもなりました。
 これまでに世界65カ国以上を訪れた、旅のスペシャリスト! まるで旅をすることで、地球のエネルギーを吸収している、そんなたかのさんと、今回は元気が出るパワフル・トークをお届けします!

 また、たかのさんの新刊『生きるって、なに?』を、直筆サイン入りで3名のかたにプレゼントします! 詳しくはコチラ!

愛想笑いは直感を鈍らせる!?

※たかのさんは、会うだけで元気をもらえるような、そんなパワフルなかた! まずはこんなご挨拶から始まりました。

「どうも、こんにちは!!」

●初めまして! たかのさんといえば、『ガンジス河でバタフライ』の原作者ということで、長澤まさみちゃん主演でドラマ化もされましたし、凄く話題になりましたよね!

「同級生の宮藤官九郎くんが脚本を書いてくれたんですけれど、私と全く似ていない、まさみちゃんがバタフライしているっていう!」

●(笑)。つまり、あのまさみちゃんのモデルになったのが、たかのさんということですよね。

「そうです、恥ずかしながら1ミリも似ていないですけど(笑)! 男か女かってジャンル分けすると、似ている方かと思います」

●(笑)。本当にタイトルもインパクトがありますし、面白いお話でした!

「この世界には常識が、国の数だけ、人の数だけあるんやなって思いました。自分が日本で感じていた価値観や常識が、世界の全てではないというか……」

●なるほど、ガンジス河でバタフライをしたことによって、そういうことを感じられたんですね。そして、実は帰りはクロール(泳ぎ)だった、と(笑)。

「クロールの方が速いんですよ!」

●そもそも、たかのさんが旅に出たきっかけというのは何だったんですか?

「もう今では、よく“心臓に毛が生えてそう”とか言われるんですけど、(昔は)本当に気が小さかったんですよ。自分のことが好きじゃないし、人と自分を比べてばっかりいたんです。そんな自分が嫌で、海外に一人旅に行って、出会いと別れを繰り返してひとまわり大きくなったら自分が変われるんじゃないかと思って、旅に出ました」

●最初に行った場所はどこだったんですか?

「当時、ジャッキー・チェンとかユン・ピョウとかがすごく流行っていたんですが、香港映画を見ていても、匂いまでは嗅げないじゃないですか。やっぱり、同じ空気を吸って、屋台の匂いとかを嗅ぎたいな〜、というのがきっかけで、はじめは香港に行ったんですね。それで、あれよあれよという間に、(当初は)香港とシンガポールだけのつもりだったんですけど、中国やマカオ、マレーシアに行ったりと、出会いが数珠繋ぎになっていって、結果的に1ヶ月かけて5エリアまわって帰ってきたんですよ!」

●へぇ〜! 最初の旅でいきなり、どんどん広がっちゃったわけですね!

「“旅って、なんて面白いんやろう!”って思ったんです。ホンマに国の数だけ言葉や食べ物も文化も全部が違って、そういうのが世界に200カ国あると思うと、“うわぁ、全部行ってみたいなぁ!”って思ったんですよね! 古今東西、漫画『ワンピース』の主人公しかり、童話『桃太郎』の主人公しかり、みんな初めはひとりで旅立って、出会いがあって別れがあって、ひとまわり大きくなって帰ってくるみたいなのがメインやったから、ずっと旅に憧れていたんですよね。なので、“これは総合エンタメやな”って思いましたね」

●“総合エンタメ”、なるほどね〜! 確かに、旅にはいろんな要素ありありですもんね! 数珠繋ぎで旅先が広がっていったっていうのが気になったんですが、どんな感じで広がっていったんですか?

「私は行き当たりばったりなんですけど、(旅に行くときは)宿も決めずに行くんですよね。それで、感覚でピンとくるような所や、宿の兄ちゃんと仲良くなれそうな雰囲気だったら、“あ、ここ泊まりたいな〜”とか思って、そしたらその人とやっぱり気が合って、“明日一緒にどっか行こうよ〜!”とか“家族紹介するよ〜!”とか、どんどん広がっていったんですよね」

●ちょっと怖かったり、大丈夫かなと不安になることはなかったんですか?

「行く前はめっちゃ怖かったです! でも最近、ホンマにしみじみ思うようになったのは、自分から声をかけたらいいと思うんですよ。なんか、“こんな面白い話があるよ〜”とか、“安くどっかに連れて行ってあげるよ〜”とか、いろいろと旅先で声をかけられることもあると思いますけど、道を聞くときにもこっちから声をかけたら、“あ、外国人が来た。騙してやろう!”とか、そんなことを、尋ねられた人が思う時間、あるわけないじゃないですか! 
 だいたい人の雰囲気って顔にも表れているし、“この人とは気が合いそうやな”っていう雰囲気も、自分の直感に任せて話しかければいいと思います。日常で愛想笑いばっかりしていると、自分の直感が鈍ってくるんですよ」

●そうなんですか!?

「でも旅に出て、“この人と仲良くなれそうだな”“南に行ってみようかな”“今日は夜行列車に乗ってみようかな”とか、自分の直感に任せていると、どんどん研ぎ澄まされていって、直感が間違わなくなるというか……」

●へぇ、そういうものなんですね!

みんなツブツブ!?

※ダライ・ラマに会いにチベットに行ったとき、こんなことがあったそうです。

「『ダライ・ラマに恋して』っていう本を書いたんですけど、チベット・エリアを旅したときに、神社・仏閣で出会う人みんなが、“何を祈ったんだい?”って聞いてくるから、“いや〜あの、ダライ・ラマに会えますようにって祈りました! 『ダライ・ラマに恋して』っていう本も書きたいと思っているし、チベットってこんなに素晴らしいっていうことを伝えたいと思っているんです!”って言ったんですね。自分としては、いいことをしている気持ちでいたんですけど、“なぜ、自分自身の願い事をするんだい?”と言われて、“えっ!? 神社・仏閣って、私利私欲を祈る所ちゃうの!?”って思ったんですよ」

●私もそう思っちゃっていました(笑)。違うんですか?

「そしたらね、“世界の幸せに君も含まれているんだから、世界の幸せを祈っとけばいいよ。何で自分ひとりだけ抜け駆けしようとするんだい?”って言われたんですよ。それで私も、言い訳じゃないねんけど、“ダライ・ラマに会えますようにってお祈りした後で、世界中の人もみんな幸せになれますようにっていうことも、一応祈ってるんやで!”って言ったら、“なぜ、君の願い事は人間限定なんだい? 僕たちは、生きとし生けるもの全てが幸せでありますようにって祈っているんだよ”って言わはったんですよ。

 チベット・エリアの人っていうのは、屈伸して体を伸ばすような、ヒンズースクワットみたいな物凄く激しい、“五体投地(ごたいとうち)”っていう祈り方をされるんですね。なので私はてっきり、お子さんが難病になったとか、旦那がリストラされたとか、もう“助けてくださーいっ!!”って思うほどの祈りだと思っていたんですよ。そしたら、そんな自分自身のお祈りをしているんやなくって、生きとし生けるものがみんな、幸せでありますようにって祈っていた、って聞いて、凄くびっくりしたんです。

 仏教の人たちなんで、輪廻転生を信じていて、日本でも『前前前世』っていう歌が流行りましたけど、例えば家畜のヤギとかに接する時も、前世では(そのヤギは)自分のお母さんやったかもしれないっていうような感じで接するんですって。私が人間限定で生きていることも小っちゃいって言われてね。

 初詣で家内安全とか祈るじゃないですか。それはいいことだと思っていたんですよ。確かに悪いことではないんですけど、でも、あの初詣に行く何千万人っていう人がみんな、“うちの家だけが、安全で幸せでありますように!”って祈ろうと思ってズラーって並んでいると思ったら、“小っちゃいな〜!!”って、思いません?」

●そういう風に聞いちゃうと、確かに小っちゃいかもしれない(笑)。

「やっぱり、みんながツブツブになってしまえば、同じなんですよね。粒子っていう単位にすると、人って、机だろうと空気だろうと同じで、宇宙から見たら点々が濃いか薄いかだけの差なんですよ! そのことを思うと、人ってつい、“あの人は優れていて、私ばっかり優遇されへんわ……”とか思いがちですけど、“ツブツブになれば一緒なんですからね!”っていう気持ちを持つことができましたね」

虫の目、鳥の目

※たかのさんに、旅先で忘れられない場所を教えてもらいました。

「南極に行ったんですけど、やっぱり聞きしに勝る素晴らしさでしたね!」

●この番組に出ていただいたゲストの方は皆さん、“南極はいいよ!”“北極もいいけど、南極もいいよ!”って言われますね。

「毎日、イルカやペンギンの大群などが流れてくるのを船で見ながら行ったんですね。昔は(南極に行くのに)1000万円以上かかっていたのが、今では100万円を切りましたからね! そのことを思うと“南極ぐらいのご褒美は(自分に)あげてもいいんじゃないかな”と思って行ったんです。それで、南極に滞在するツアーでは、氷だけは持って帰っていいっていうことになっていて、船の中でオンザロックで飲めるんですよ。そしたら、その何万年前に閉じ込められた氷が、シュワシュワシュワ〜って溶けるんです! それを“南極の氷かぁ〜!”と思いながら飲む、うまさ!!」

●どんな味でした?

「太古のままの、手つかずの自然のまま、いただいているような、おおらかな気持ちになります」

●旅を通して今、一番感じていることはありますか?

「小学校とか中学校とか、いろんな学校に通いましたけど、旅が世界最大の学校でした。これ以上に私にものを教えてくれた学校はなかったなぁと思うんで、老若男女みなさんに旅を勧めたいなぁっていうのは、思いますね」

●どんなことを教わったんですか?

「私、人間には2つの“目”が必要だと思っているんですよね。それは“虫の目”と“鳥の目”。日常の没頭している時っていうのは、虫の目になっていると思うんですよ。家事をやっているとか、お仕事をしているとか、子育てとか勉強とか、それら全部は虫の目で、目の前の土をかくのに一生懸命っていう。もちろん、それも大事なんですけど、それだけだと学校とか職場でうまくいかなくなっただけで、もう絶望というか、辛過ぎる、みたいな……。過労自殺をされるかたのニュースを見ると、胸がぎゅーっとなるんです。会社に行くか死ぬかの2択とか、そのくらい狭まってしまうんですよ、虫の目って!
 でも、旅に出ると視野がぐっと広がって、本当に鳥が大空を舞いながら、下でいろんな人たちが生きている世界を俯瞰しているような。“あ、みんなで生きているんやなぁ。自分が生きている世界が全てじゃないんだなぁ”とか、“日本だけが地球じゃないんだなぁ”とか思えるようになるんです。本当に広い視野を持てるので、“辛かったら逃げろ!”って言いたいですし、人生を生きていくのに、いろんな知恵をくれるツールだと思いますね」

自分をいじめない

※最後に、たかのさんの最新の本『生きるって、なに?』に込められた思いをうかがってみましょう。

「どストレートなタイトルなんですけどね。私、大学で教えていて、授業が終わっていつも(学生たちと)ご飯を食べに行ってご馳走してあげたりするんですけど、その時に教え子から“生きる意味がわからない”って相談されて、“うっわ〜、わかるわ〜!!”って思ったんです。生きる意味を見失いかけたことがない人なんて、いないですよね。私は映画会社を7年前に辞めたんですけど、辞める前はホンマに辛くって、上司と折り合いがつかなくて、生きる意味を見失いかけたんで、彼の思いが人ごとじゃなかったんですよね。

 それで、教え子がときどき読み返して、元気になれるような文章が書きたいなって、初めは思ったんです。そうして文章を書いて、それを授業で教え子のみんなに渡したんですよ。そしたら感想を書いてくれたんです。『生きるって、なに?』の中に、“迷惑をかけたり、かけられたりすることで、人と人は濃厚な人間関係とか濃厚な人生をつくるんだよ”みたいな文章があるんですけど、子供の時からお母さんに“迷惑だけはかけないで!”と言われて(その子は)育ったんです」

●日本人はやっぱり、迷惑かけちゃいけないって教わりますからね。

「なので、“初めて‘迷惑をかけてもいいんだよ'って言われて、気持ちがとっても楽になりました!”って書いてくれたんですよ。その時に、“あぁ、私も親に、ずっと迷惑をかけるなって言われ続けていたから、これを大人に言うてもらいたかったな”って思ったんです。なので、“みんなにシェアしたい!”ってハートに火がついて、だったら500円とかで売れる本を作りたいって思って、思い切って自費出版することに決めました」

●そういうきっかけがあったんですね。迷惑をかけちゃいけないというお話なんですけど、私も『生きるって、なに?』を読ませていただいて、いいなと思ったのが、“迷惑をかけないのではなく、迷惑をかけられても、それを許せる人になりなさい”っていう部分でした。

「インドでのことわざなんですけど、日本人はつい、“人様に迷惑を〜”だけ言うのが、インドでは“お前も迷惑をかけているんやから人の迷惑も許しなさい”って躾けるらしいんですよね。それを聞いた時に、同じ迷惑問題を語るにしても、なんか気持ちが楽になるというか、私も人に迷惑をかけるときもあるけど、人が“助けて〜!”って言ったりしてきたときは、“どうした〜!”って言おう、という気持ちになれるというか……」

●そうですよね、生きている時点で、迷惑をかけないなんて不可能じゃないですか!

「もうホンマにね、子供が生まれて赤ちゃんの時に“オギャァー!!”って泣いていたら、“うるさい!”ってなるでしょ。そのあとも、ご飯もひとりで食べられへん、言葉も通じない、とか。でも、誰かが一生懸命愛して、言葉を覚えさせて教育を受けさせて……。そういうのは、愛の結果じゃないですか! 迷惑はかけ散らかしたけど、みんなそうやって大きくなってきたんやから、もちろん犯罪はいけないんですけど、それ以外ならオーケー! っていうことで、みんなで助け合うのがいいと思うんです。

 なんで私が、こんなに迷惑を掛け合ったりすることを推奨しているかっていうと、今の人生を振り返ってみても、(友だちで)残っている人ってめっちゃ迷惑をかけたり、めっちゃ迷惑をかけられた人だけなんですよ。もう、つつがなく、なんてことのない、ただなんとなく当たり障りのない関係だった人っていうのは、フェードアウトしていって、一生会えませんよ! それで困りもせえへんし! やっぱり困った時に、“あ〜、話を聞いてもらいたいわぁ〜!”とかって思う人が濃厚な、迷惑をかけたり、かけられた間柄の人ばっかりなんです。親が子供に“迷惑をかけたらあかんよ〜!”って言うのは、“薄っぺらい人生を生きなさ〜い!”って言うてることになるんでね、みんな濃厚な人生を生きて欲しいなと思いますけどね」

●今日は本当に、たかのさんとお話させていただいて、なんか私も楽しくなっちゃったんですけど、そのたかのさんの明るさっていうのは、どこからくるんですか?

「この本に、“自分をいじめないこと”って書いたんです。私自身が自分のことを物凄くいじめていたんですね。いじめっていうのは、学校とか職場で起こっているだけじゃなくって、“あの人と比べて私は……”とか、“自分なんて……”って思うことも全部、自分をいじめてることになっていると思うんですよね。自分をいじめても全くいいことなんかないんで、もう辞めました。もう、今では誉め殺しです。お風呂に入ったときも、365日、24時間、自分の体はめっちゃ働いてくれているわけじゃないですか! だから自分の体とかを洗いながら、“ありがとう! 心臓も頭もありがとう!”って言って褒めちぎります」

●そうすると、体もどんどん元気になってきますか?

「もうホンマに、セルフハグってすごくいい影響を与えてくれるので、やるといいですよ! タダですし! 私は自分の講演でも、終わった後にいつも本のサイン会をやるんですけど、来てくれた人とぶつかり稽古みたいなハグ会ですよ!」

●あとで私もハグしてください! 汗、かいちゃっていますけど(笑)。

「全然、お気になさらず! 私も汗だく!」

●じゃあ、ぜひお願いします!

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 約束通りたかのさんにインタビュー終わりにハグして貰ったんですが、ぎゅっと抱きしめられて癒されてパワーを貰っちゃいました。まさに人間パワースポット(笑)そんなたかのさんにぜひまたお会いしたいです。

INFORMATION

『生きるって、なに?』

新刊『生きるって、なに?

 テルブックス/税込価格540円

 言葉の一言一言が心に残る一冊です。
世界中の人たちの笑顔にあふれている写真も、とても素敵です!
 また、この本の発売を記念してトーク・イベント「てるこの部屋」が開催されます。
 日時は8月10日(金)の夜7時から。会場は新宿ロフトプラスワン。
 ゲストはテレビ朝日アナウンサーの大下容子さんです。トークのほか、サイン&ハグ会あり、大下さんによる朗読ありの、濃厚な3時間。ぜひお出かけください!
 いずれも詳しくは、たかのてるこさんのオフィシャルサイトをご覧ください。

<『生きるって、なに?』プレゼントの応募要項>
 たかのさんの新刊『生きるって、なに?』を直筆サイン入りで3名のかたにプレゼントします!
 メールのタイトルに、「プレゼント希望」と明記の上、あなたの住所、氏名、年齢、職業、電話番号、そしてぜひ番組へのご意見、ご要望も添えて、flint@bayfm.co.jpまで送ってください。
 応募の締め切りは8月10日(金)。当選は発送をもって代えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています!

応募は締め切りました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「(MEET) THE FLINTSTONES / THE B-52's」

M1. TAKE IT EASY / EAGLES

M2. さすらい / 奥田民生

M3. AROUND THE WORLD / MONKEY MAJIK

M4. LIKE A ROLLING STONE / BOB DYLAN

M5. みんな空の下 / 絢香

M6. ハピネス / AI

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」