今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンは、番組初となる「動物スポーツ選手権」! 解説は動物行動学者の新宅広二(しんたく・こうじ)さんです。
新宅さんは1968年生まれ、上智大学大学院卒業。その後、上野動物園や多摩動物公園で動物解説員として活躍。国内外のフィールドワークを含め、およそ400種類以上の野生動物の生態や飼育法を習得しています。現在は大学や専門学校で、動物行動学などを教える傍ら、本の執筆、動物系の映画やテレビ番組などの監修も行なってらっしゃいます。
実は、高橋一生さん主演のテレビドラマ「僕らは奇跡でできている」で、高橋さんが授業やフィールドワークをするシーンは、新宅さんをモデルにしているそうですよ!
さて、動物たちがスポーツ競技に出場したらどうなるんでしょうか?
100メートル走はチーターが金メダル!? 来年2019年の干支でもあるイノシシが、なんと走り高跳びに挑戦!? そしてオットセイ・チームとゾウアザラシ・チームによるカーリング決勝戦のゆくえは……? いよいよ「動物スポーツ選手権」開幕です!
※それではさっそく最初の競技「100メートル走」です!
●新宅さん、よろしくお願いいたします!
「よろしくお願いします!」
●いよいよですね! 私、この選手権が開催されるのを待ち望んでおりました!
「いや〜、私も解説するのを待っていました!」
一同「(笑)」
●ではさっそく、陸上100メートル走です。ずばり新宅さん、優勝候補はどの選手でしょうか?
「これは多分、みなさん予想されている選手がいると思うんですよね」
●あの選手ですよね! “足が速い”といえば〜?
「最も陸上でも形の美しい、走るために生まれてきたような動物、チーターですよね!」
●チーターは実際に、どれくらいの速さで走れるんですか?
「最高速度が110キロぐらい出るっていうのが、あちこちの文献で出ていたんで、実際に私が本物のチーターで計測してみたんですね。そしたら時速120キロまで余裕を持って出ていたんですよね」
●えっ、時速120キロで余裕があるくらい!?
「それで、私が計測した時は、時速100キロに達するまでが3秒だったんですね。これを超えるっていうのは、なかなか……」
●そうですよね〜。続いて他の選手は?
「いろいろ面白い動物がいるんですが、例えば肉食動物なんかで意外とダークホースになっているのが、タテガミオオカミ。イヌ科の仲間ですね。大型のキツネみたいなんですけど、結構速く走りますね」
●へぇ〜! プロングホーンっていうのは、どんな動物なんですか?
「この動物は、実はシカのような形に進化した、ウシの仲間なんですね」
●ウシの仲間なんですか!?
「この仲間は、実はとても足が速いんですよね」
●いい勝負になりそうですね! さあ、それでは改めて出場選手を紹介しましょう! この100メートル走に出る選手は、チーター、タテガミオオカミ、プロングホーン、ハネジネズミ、この4選手です!
(ファンファーレ♪)
●……それではレース、スタートです!
(パンッ!)
●まずはチーターですね!
「順調に出ていますね!」
●あれ、でもこれ、新宅さん、フライングかな?
「やり直しみたいですね」
●おお〜っと、これは意外な展開ですね! チーターがフライングしてしまいました。
「1種目めからやり直しですね」
●波乱の展開ですね! では、また改めて、4選手が位置につきまして……スタートです!
(パンッ!)
●今、スタートを切りましたが、おっと……?
「チーター、出遅れていますね。ぶっちぎりでプロングホーンがいっていますね」
●あっ、今ゴールしましたね! というわけで結果は、金メダルがプロングホーン、銀メダルがタテガミオオカミ、銅メダルはチーターでした。
「チーターの敗因というのがですね、フライングしたりしてやり直すと、1回で全部のエネルギーを使い果たしてしまうので、続けて速いスピードで、ずっとは走れないんですよね」
●それで残念ながら、今回は銅メダルだったわけですね。実際にはどれくらい速さを持続できるんですか?
「長くても1分もたないって言われていますね」
●短いですね(笑)!
「正味、15秒から20秒ぐらいが勝負で、(狩の時は)スタート・ダッシュで狙って襲う感じにしているんですね」
●じゃあ、本当に一発勝負だったんですね!
*チーター選手はネコ科にしては珍しく、爪が常に出ていて、特製スパイクを履いているような状態だったんですが、スタミナ不足ということで残念ながら、銅メダルに終わってしまいました。
●さあ、続いての競技は「走り高跳び」です! エントリーしている選手は、イノシシ、ピューマ、さらにこの選手は大穴になるかもしれません、ノミ!
「一番の注目選手は、イノシシですね」
●来年2019年の干支ですね! イノシシが走り高跳びっていうのは、意外なんですけど?
「そうですね、全然ノーマークなんですが、非常にいい仕上がりをしていますね!」
●そうですか、仕上がっていますか(笑)! でも、高く跳べるイメージがあんまりないというか、前に突っ込むイメージがあるんですけども?
「実は、垂直方向も得意なんですよね。ですから、例えば動物園なんかでもイノシシを飼育する時に(塀の)高さを決めるのが凄く難しくて、“これぐらいは跳ばないだろう”なんて思っている塀の高さを超えてしまうことがあるんですよね」
●だいたい、何メートルぐらい跳べるんですか?
「私がいろいろやって“これだと跳べないだろう”っていうまでには、4メートルの塀が必要でした」
●4メートルですか!?
「塀に足を引っ掛けて、ほぼ助走なしで垂直にタタッとそのまま駆け上がっちゃうことができるんですよね」
●助走なしで!? メンタルも強そうですよね!
「メンタルも強いですね。それこそ、猪突猛進っていうことわざがあるくらい、向かってきちゃうようなメンタルなので、非常に競技に向いてますね」
●私、ノミ選手が気になるんですけど、この選手はどうでしょうか?
「ノミはですね、自分の身長の何百倍もジャンプできますので、さすが、選手権にエントリーしてきましたね」
●なるほど、いずれの選手も期待なわけですが、早速、競技に注目してみましょう!
(ファンファーレ♪)
●まずは、ノミ選手から。さあ、ノミ選手〜……跳びました! おっと、これはなかなかいい記録じゃないですか?
「あー、ちょっと私には見えなかったですね」
●小さいですからねぇ(笑)。さあ続いては、ピューマ選手! なんだか勇敢な感じがしますけども、おっ、跳びました! おーっと、かなりいい記録がでましたね!
「いい記録ですね! これはワールドレコードじゃないですかね?」
●なんかお腹が空いてそうでしたもんね(笑)。“食べた〜い!”っていう感じで跳んでいました。
「そうですね、集中していました!」
●さあ続いては、イノシシ選手です! 注目のイノシシ選手はっ! ……跳びましたっ……おおっ、跳んだ、跳んだ??
「……これは、そもそも跳ばなかったですね」
一同「(笑)」
●なんで跳ばなかったんですかね?
「ハードルが電気柵を想像させてしまったかもしれませんね(笑)」
●強いメンタルがちょっと崩れちゃったのかもしれないですね。というわけで、走り高跳びの結果は、金メダルがピューマということになりました。
*ジャンプといえば、ウサギ選手がなぜ今回、走り高跳びに出場しなかったのか。実は、ウサギはメンタルが弱く、ナイーブなので、今回は出場を見送ったとのことでした。
※新宅さんは、エリアごとに動物達のサッカー・チームを編成! 例えばアフリカは、多彩な攻撃ができる「ファンタジスタ軍団」ということで、フォワードにチーターやリカオン、そしてミッドフィルダーにバッファローを選出しています。さらにヨーロッパでは、鉄壁の守りからのカウンター攻撃ということで、ゴールキーパーにホッキョクグマ、ディフェンダーにヨーロッパバイソンやジャコウウシを配し、守りが強そうです!
一体、他のチームはどんな感じなんでしょうか!? エリアごとにスターティング・メンバーのシミュレーションを新宅さんにしていただきました。
●南米代表! これまたテクニシャンが揃っていそうですけど、注目選手はどの選手でしょうか?
「個人技が凄い選手ばっかりですからね! 例えば、フォワードでもジャガー、タテガミオオカミ、マーラがいますし、中盤にはフサオマキザルがいます。この選手はチンパンジー並みに頭がいいって言われているんで、ゲームメイクすると思うんですよね」
●なるほど。新宅さん、南米代表にナマケモノ選手がいますけど、大丈夫ですかね〜?
「そうですね、世界でも屈指のポストプレーができる選手として知られているので、彼を起点にしてパスを受けるんですけど、よく遅延行為でイエローカードをもらっていますんで、そこはちょっと心配ですけどね」
●そこはちょっとだけ気をつけて欲しいですね(笑)! さらには、北中米代表! この中で注目の選手は?
「監督がコヨーテで、北中米にはオオカミなんかも控え選手で豪華にいるんですが、オオカミはコヨーテとの確執が噂されていて、スタメンには選ばれなかったんですね(笑)」
●そこはちょっと、いろいろあるんですね(笑)。
「それで代わりにオポッサムがフォワードなんですけど、彼は演技で死に真似とかが得意なので、ファールをもらいにいくプレーでワンチャンス作ると思いますね!」
●なるほど、北中米代表はそういう手も使ってきそうということですね! さあ、では最後に、アジア・豪州代表! このチームはどうでしょうか?
「ここも非常にタレント揃いで、層が厚いですよね。我々の日本からも、ミッドフィルダーにニホンイノシシがいますし(笑)、両サイドにはモウコノウマとキョンがいるので、サイドアタックで上がって攻撃に参加できるっていうのも、このアジア勢の魅力ですね!」
●総攻撃という感じですね! (ミッドフィルダーにいる)ジャイアントパンダ選手は、大きな体からどんなテクニックが出るのか、ちょっと注目しているんですが、どうでしょうか?
「そうですね、アジア・豪州代表のところでは、ジャイアントパンダとマレーバクでダブルボランチを組んでいるのですが、ふたりとも体が白と黒なので、サッカーボールが消えて見えるんです(笑)」
●なるほど(笑)!
「これがまぁ、アジア・豪州代表の必殺技になるんじゃないでしょうかねぇ」
●“ボール、持ってんの、持ってないの!?”みたいに敵を混乱させることができますね!
「ダブルボランチ、要注意ですね」
※最後の競技は、「氷上のチェス」、カーリング! カーリングといえば、体力だけでなく、知力やチームワークが試されますが、今回、順当に勝ち上がったのはオットセイ・チームと、ゾウアザラシ・チーム! では、この2チームの決勝戰を、どうぞ!
「強豪が残りましたね!」
●そうですね〜! どちらが金メダルを取るのか、固唾を呑んで見守っていますけど、先ほどオットセイ・チームがもぐもぐタイムしていましたね!
「チームワーク、いいですね! 仲よくキビナゴを食べていましたね」
●オットセイ・チームは、自分たちのお腹を使って滑っていましたよね。
「あの絶妙な技でストーンをコントロールしていますよね」
●オットセイはどれくらい滑ることができるんですか?
「最初の1ステップで40〜50メートル、体勢を整えながらずっと滑ることができますね」
●凄いのは、ピタッといい位置に止まれることですよね!
「ただ、これからゾウアザラシ・チームも体を使ってスイープさせてきますので、体温で氷がだいぶ溶け出して難しくなってきますね」
●なるほど。それでは、最後のストーン!
「ゾウアザラシ・チームの重要な一投ですね。これで勝負が決まりそうです」
●なんかオットセイ・チームも“そだねー”とか言いながら結構、いいところにつけていますよね。
「そうですね、思い通りのところにストーンを置けているようでしたね」
●最後、ゾウアザラシ・チームの一投……おおーーーっ!?
(コンッ!)
●いい感じにいきましたね〜!
「あー、でもちょっと伸びすぎましたね〜。どうか!?」
●ああ〜、どうか、どうか!? おお〜っと!?
「ダブルテイクアウトでしたね」
一同「(笑)」
●まさかの大逆転!!
「さすがでしたね!」
●というわけで、金メダルはゾウアザラシ、そして銀メダルはオットセイとなりました!
※「ザ・フリントストーン 動物スポーツ選手権2018」。ところで、実際に動物たちはスポーツをするんでしょうか?
「狩りをしたり、逃げたりするのに必要なので、そういうことを練習するような形でやっているんですよね。その中の、ちょっとふざけてやったりする中に、実際にスポーツ要素があるんですよね」
●どんな動物がふざけてやるんですか?
「いろんな動物がちょっとした場面でやりますね。遊んでいるうちに段々と勢い余って本気で走ってかけっこが始まっちゃうようなことが、ウマとかシカの仲間なんかは、よくそういうことをやりますね。姿勢とか表情とか尻尾の動きなんかで、凄く楽しんでいる状態になっているんですよね。尻尾をわざと振ったりして、“これはふざけているんだよ”というのを仲間同士でちゃんと伝えながら、おいかけっこをしたりしています。本当にルールのあるスポーツのようなものなので、動物達はそういうところで楽しんでいますし、いざっていう時にそれが生活の中で役立つこともあるんですよね」
●メンタルとかはどうなんでしょうね?
「特にオリンピックみたいな世界最高峰の競技なんかを見ていると、優勝候補の人が実際に金メダルを取れなかったりだとか、期待されていた人が思い通りにいかないとか、全然期待していない人が金メダルを取ったりとか、そういうドラマがありますよね。
動物達も、スペックとしては凄い速さで走ることが知られていたりだとか、パワーを持っていたりすることがあるんですけど、実際にそれを大事な時に使えるかどうかっていうところが、これまであまり語られてこなかったんですね。それがちょっとスポーツと似ているなと思って、動物達も持っているポテンシャルを出し切れなかったり、いざっていう時に思った以上のジャンプ力が出たりだとか、そういう場面が実はあちこちでちょっとずつわかってきているんですよね」
●凄い能力があるのにメンタルが弱い動物っていうのもいるんですか?
「種類によって、気の強い動物とか、力は持っているけど、気の弱い動物がいるんですよね」
●どんな動物がいるんですか?
「例えばですけど、イタチの仲間のグループっていうのは、あまり大きい生き物じゃないんですけど結構、メンタルが強かったりするんですよね。自分より大きい動物と戦おうとしたりだとか、そういうことが凄く好きなんですよね」
●逆はどうですか? 凄く能力があるのにメンタルが弱い動物は?
「例えばシャチなんかは、体も大きいし、クジラやホオジロザメなんかも襲うくらいの無敵なんですけど、実際にひとりぼっちになってしまったりだとか、水族館で飼ったりすると緊張してご飯が食べられなくなっちゃったりだとか(笑)。“殺し屋”って言われている割には物凄く繊細なんですよね」
●じゃあ、もし大会とかがあったら、直前でお腹を壊しちゃったりするかもしれないですね(笑)。
「オオカミなんかも、物凄く戦術に優れているんですよ。下見をよくしていたりだとか、どこで獲物を仕留めるだとか、そういうのを考えてやっているんですけど、考え過ぎて“策士、策に溺れる”じゃないですけど、“あ、これもう無理だな”と思ったら、早めに(狩りを)止めちゃったりするんですよね」
一同「諦めが早い(笑)」
「そういう習性もオオカミっぽくて面白いですけどね」
●結構、完璧主義なんですね。面白いですね〜! では最後に新宅さん、今後も動物の行動を通して、どんなことを伝えていきたいですか?
「やっぱり、いろいろ調べれば調べるほど、逆にわからなくないことがどんどん増えてきてしまうので、そこが魅力ですし、人間もそうなのかなっていう気が、最近してきていますね」
※この他の新宅広二さんのトークもご覧下さい。
スポーツは、勝つ為に。動物は、生きる為に。その目的は違いますが、どちらも懸命に戦う姿は心を打たれます。“あの動物はどんな競技で活躍しそうか”そんな想像力を膨らませて、ぜひあなただけの「動物スポーツ選手権」開催してみて下さい。
辰巳出版/ 税込価格1,058円
お子さんでも大人でも楽しく読める、動物雑学本です。動物のイラスト満載なので、見ているだけでも楽しい! 他にも動物達による競技がたくさん載っているので、ぜひ読んでください!
お子さんへのクリスマスのプレゼントにいかがでしょうか。
詳しくは辰巳出版のホームページをご覧ください。
新宅さんが監修された、BBC製作の野生動物のドキュメンタリー映画。馴染みのある動物達の知られざる生態を捉えた傑作です。現在、全国の映画館で上映中。ぜひご覧ください!