今週のベイエフエム/ ザ・フリントストーンのゲストは、一般社団法人「環境・文化創造機構」の理事・宇津留理子(うず・るりこ)さんです。
写真協力:グリーンイメージ国際環境映像祭
「環境・文化創造機構」は、「グリーンイメージ国際環境映像祭」を進めていくうちに、日本全国各地のいろいろな団体や人たちと出会い、映像祭以外の活動を一緒に行なうために、2015年に設立されました。現在は映像祭の開催をメインに、山林から馬で木材を運び出す「馬搬(ばはん)」を広める活動などをお手伝いしています。
今回は、そんな環境・文化創造機構が主催し、毎年開催しているグリーンイメージ国際環境映像祭についてお話いただきます。
※それではまず、宇津さんに「グリーンイメージ国際環境映像祭」とはどんな映像祭なのか、教えていただきましょう!
「グリーンイメージ国際環境映像祭は、2013年に立ち上がった、環境をテーマとした国際映像祭です。環境がテーマであればどんなジャンルでも、例えばアニメーションでもドキュメンタリーでもドラマでもCMでも、どんな作品でも、素晴らしい作品であれば取り上げるというのが私どもの映像祭の特徴です。
年に1回、世界から作品を募集しまして、その優れた作品を2回の審査を経てご紹介します。年に1回、東京で行なわれるフェスティバルのほかに、年間を通して過去の受賞作品の貸し出しなどを行なうというのも、私どもの映像祭の活動になっています。
第7回グリーンイメージ国際環境映像祭は、来年2020年の2月21日(金)から23日(日)まで、東京の日比谷図書文化館コンベンションホールで行ないます。作品の上映のほかに、監督のトークや特別プログラムのシンポジウムなども行なう予定です。
いろんな国から、特に普段、あまり作品を見ることがない国からの作品が私どもの映像祭ではとても多いので、多分見たことがない、そして感じたことがないような、そういった作品に出合えるきっかけになると思います」
※来年2020年2月に開催される第7回目の映像祭。その応募は今年2019年9月末に締め切られましたが、今回は50を超える国や地域から238作品の応募があったそうです。では、過去の映像祭では一体、どんな注目作品があったのでしょうか?
「最近、話題になっている、海のプラスチックごみに関しての作品などは、3年以上前に応募された作品で、その作品が賞を取っているんですけれど、フランスのドキュメンタリーで、『海—消えたプラスチックの謎』という作品があります。
こちらの作品、本当に早い段階から海のマイクロプラスチックごみの状況を、世界各地の研究者が研究して、その最新の研究状況を報告するような作品なんですけれども、非常に科学的ですし、しかも分かっていることと分かっていないことをハッキリ示すかたちで撮られています。
そして、とても特徴的なのが、とても美しいんですね! 何というか、映像がとてもかっこいいという(笑)。やはりフランスはパリ協定以降、環境に関しての政策を国内で非常に力を入れているのがわかるような作品で、実はグリーンイメージ国際環境映像祭の応募作品も、パリ協定の前あたりから急にフランス作品がたくさん増えているんですね。その中でもこの、『海—消えたプラスチックの謎』は、非常に美しさとしても、科学的な面でも優れた作品です。今、各地で上映が広がっていて、私どものウェブサイトを見ていただければ最新の上映情報をご紹介していますので、ぜひ!
なかなか見ることのない作品としましては、前回の大賞作品なんですけれども、セネガルのドキュメンタリーなんですね。実は近年、アフリカからの作品の応募というのが増えていまして、しかもそのクオリティがとても高いというのが、凄く興味深い状況だと思います。
前回の映像祭で大賞を取ったセネガルの作品『黄金の魚 アフリカの魚』という作品なんですけれど、地域の方々が集まって、干し魚の一大産業がそこで行なわれています。そしてその非常に過酷な労働状況の中で、地元の食のための干し魚が作られているというドキュメンタリーなんですね。
実はその中で、だんだん状況が変わりまして、そこに外国の多国籍企業の工場が急に進出して、地元の方々の生業だったり食になっていた魚が、一転して世界の先進国のペットフードにされてしまっているという、非常にショッキングな状況を描いたドキュメンタリーが大賞を取りました。
今はアフリカが“最後のフロンティア”みたいな言い方をされていまして、各地での開発ですとか、あるいは援助というものが入っているという状況にありますが、実際に開発ですとか他国の企業が入ることによって、どのような状況が起こり得るかということを、非常にまざまざと描いた作品でもあると思います。そして、誰が食べるかたちとして供給するかという、食に関しても非常に考えることの多い作品だったと思います」
※来年2020年で第7回目の開催となる、グリーンイメージ国際環境映像祭に向けて、宇津さんにはどんな想いがあるのでしょうか?
「本当に世界各地のさまざまな作品をご紹介しているんですけれど、その作品を見ることによって、環境に関しての世界各地の状況を感じていただいたりですとか、各地の文化ですとか、そこにどんな人がいるのかということに想いを巡らせたりですとか、環境問題や世界各地の文化に出合う場になればいいかなと思って、グリーンイメージ国際環境映像祭を開催しています。
やはり、物を買う時でも、いろんな国のニュースを聞く時にしても、なかなか言葉だけではどんな状況なのかっていうのを想像するのが難しいんですけれども、例えば何かを買うときに“これはどこの国から来た、どんなものなのかな?”ですとか、あるいはニュースを聞いたときに、“あ、そういえば、あの作品でこんな人が出ていたな!”といったように、いろんな国の人々の顔ですとか状況が想像できるだけで多分、生活の中でちょっとした何らかの引っかかりができることもあるのかなと考えています。とてもささやかですけれども、でも大きなことなのではないかと考えています。そういった、何か考えたり感じたりするきっかけになればいいかなと思っています」
来年2020年に7回目を迎えるこの映画祭は、2月21日(金)から23日(日)まで、日比谷図書文化館コンベンションホールで開催されます。今回は50を超える国や地域から集まった238作品から、予定では10から15作品が選ばれ、上映されることになっています。
現在、選考委員のかたが選定中ということで、上映作品が決まったら、その詳細をまた番組でご紹介する予定です。
また、過去の受賞作品は上映会向けに貸し出しを行なっています。映像祭について詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。