今週のベイエフエム/ ザ・フリントストーンのゲストは、山を愛するモデルKIKIさんです。
KIKIさんは、モデルとしてCMや雑誌などのお仕事のかたわら、山登りに熱中。写真も趣味で、山に関する本も出していらっしゃいます。実は、この番組には5年ほど前に、『美しい山を旅して』という本を出版されたときに、ご出演いただいているんです。
今回はそんなKIKIさんに、山の魅力や、お子さんが誕生してからの心境の変化、そして現在、南アルプス市で開催中のフォトエッセイ展のお話をうかがいます。
●KIKIさんと山の出会いって、どうだったんですか?
「2006年になるんですけれど、夏休みの時に、普通に友人に“登山に行くけど一緒にどう?”って誘ってもらったんですね。体力には自信があったので、“あ、行く行く!”みたいな感じで、気軽について行ったら、ハマってしまったっていう(笑)」
●それはどんな山だったんですか?
「八ヶ岳という、山梨県と長野県にまたがる山域なんですけど、その中の赤岳(あかだけ)という山に、山小屋泊で1泊2日で行くということで、泊りがけだっていうことがまず、楽しそう! って私は思ったんですね。その赤岳も3000m近い山なので、いきなりそんな高い山に行けるんだ! って思いました」
●全くの初心者の状態から、いきなり(そんな高い山へ)!? どうでした?
「いわゆる“登山”は初めてだったんですけれど、私が子供の時に両親がキャンプに連れて行ってくれたり、今でも一緒に行くんですけど、一緒にバックカントリースキーをしたりするので、割と自然には慣れ親しんでいたり、道具も揃っていて登山靴を買うぐらいで済んだので、いろんな意味でハードルが低かったっていうのはありますね」
●実際に初めて山に登られて、どんなふうに感じました?
「やっぱり登るのが、ひたすら苦行みたいな(笑)。いまでもそうなんですけどね。“何で来ちゃったんだろう?”と思うんですけど、でも振り返ってみると、山の麓から眺めて“あんなに高い山に……”って思ったところに、自分の足で一歩一歩と歩いて頂上に立った時は、ここに来られたってことに感動して、凄くシンプルなんですけど、なんか自分の体でこんな素晴らしい景色も見られて、凄く天気もよかったので、なにしろ感動しました!」
●特に好きな山ってあるんですか?
「最初に行ったからかもしれないんですが、八ヶ岳の山域は凄く今でも好きで、広いので北のほうと南のほうで風景もだいぶ違かったりするので、長く楽しめるというか、いつ行っても新鮮で好きですね」
●今までどれぐらいの山を登られたんですか?
「う〜ん……いわゆる日本百名山っていう山は、有名で登りがいのある山が多いんですけど、そういう山だと多分、30ぐらいしか登っていないんです。ただ、同じ山に10回ぐらい行っていますし、そんなに標高がなくても素敵な山が結構あって……どのくらいなんでしょうねぇ〜、100回ぐらいの山行はしていると思うんですけどね」
●でも、毎回登るときは“あ〜、なんでこんなに辛いんだ……”って思いながら登られるわけですよね(笑)?
「そうですね(笑)。やっぱり荷物も重かったり、登るっていうのは単純に疲れるので、“あ〜、なんで来ちゃったんだろう?”って本当に毎回思います」
●でも登り続けるっていうのは、どうしてですか?
「不思議ですよね〜。でもやっぱり、登っていると集中してきて、仲間と話しながら登っている時もあるんですけど、結構無言になる時もあって、そういう時って自分の中で、その時に考えていること……わかり易く言えば、ちょっと心配事があったり、モヤモヤしていることとかだったりを頭の中で凄く考えて、そうやって登る苦しさを紛らわしているんです。
けど、どんどん登って行くと、だんだんそういったことがどうでもよくなってくるというか、“なんて小っちゃいことを私は考えているんだろう?”というか、だんだん“無”になっていくんですね」
●のちにご主人となる方との初デートも山だったということを、ちょっとお聞きしたんですけど……?
「よくご存知で(笑)。そうですね、出会いはまた別だったんですけど、一緒に山に行く機会があり、仕事で最初は山に行って、そのあとプライベートでまたすぐに山に行きましたね。なんか、不思議ですね(笑)」
●山でビビっときたんですか(笑)?
「弟もそうなんですけど、山に一緒に行く仲間って何人か決まっていて、やっぱり大人になると、自分以外の人と過ごす時って、食事に行ったりとか、仕事で会うとか、会う場所とか時間って限られているじゃないですか。山に行くと、泊りがけだったら24時間、そのぐらいの長い時間ずっと一緒にいるし、だからやっぱり、それだけ長い時間いると、その人がよく見えるのかな。
会話する内容だけじゃなくて、会話がない時の過ごし方だとか、いろいろ見えてくるんです。私も普段以上におしゃべりをしますし、あと無言になると、食事の時とかだとちょっと気まずいじゃないですか。でも山だと、そういう時間も相手のことを考えられたり、いろんな見方ができるので、“あ、なんかいいかも……”みたいに(思う時もありますね)」
●へぇ〜! 山デートっていいのかもしれないですね(笑)!
「でも、よく“吊り橋効果”っていう言葉がありますが、自然の中だからよく見えてしまうっていうこともあるらしいので、そこは慎重にいかないと(笑)。ただ、やっぱりよく見える、見られるっていうのはあるのかなと思いますね」
●そうですよね、長い時間一緒にいるんですしね! あと、KIKIさんのインスタグラムを拝見したんですけど、もうすっごく可愛い娘さんのお写真がたくさん載っていましたよね〜! おいくつになるんですか?
「もうすぐ1歳ですね」
●もう可愛くて仕方ないんじゃないですか?
「可愛いです、楽しいですね!」
●娘さんがそんなにまだ小さいということは、最近は山には登られていないんですか?
「そうなんです。なかなか以前のように自由に出かけられないので、登山の回数はもうグッと減っているんですけど。でも娘もですし、その1年前に子犬が我が家に来たので、犬も一緒なんです。なので、一緒に出かけられる自然のフィールドを探すようになったんですね。だから、いわゆる登山じゃなくても、今まで行っていた山の麓で楽しむとか、ちょっと自然との接し方は変わっているんですけど、やっぱり私自身も、夫もですけど、自然の中で過ごす時間が凄く大切なので、出かけてはいますね」
●具体的にどんなことをご家族でされているんですか?
「本当にまだ娘はつかまり立ちがやっとみたいな感じで、歩いたり出来ないので負ぶったりして森の中を歩くとか、あまり段差がないような場所を探して、ハイキングというか、散歩道のようなところを歩いたりするんですけど、やっぱり登らなくても森の中にいるだけで凄く気持ちがいいんですね。
犬はもちろん、臭いを嗅ぎまわって凄く楽しそうにしていて、娘も木漏れ日とか葉っぱとかが凄く新鮮みたいで、よく見上げて空を見ていたり、葉っぱを触ろうとしたり掴んだり、楽しそうにしています!」
●じゃあ、いつかご家族みんなで山登りができたら楽しそうですよね!
「そうですね! 楽しみにしていて、もう背負子(しょいこ)だけは用意してあって(笑)」
●KIKIさん自身は、お子さんが生まれてから心境の変化とかはありました?
「うーん……でもやっぱり、自然に対する目線が変わったりとか、あと家の近くでも意外と探すといい公園があったりとか、“あ、こういう場所だと娘と一緒に楽しめるな”みたいな!」
このあと、KIKI さんに南アルプスのお話をうかがいますが、その前に・・・
南アルプスというと、何をイメージしますか? 「天然水!」と即答してしまう人も多いと思いますが、そもそも南アルプスって、どこにあるの? というところから、ちょっとおさらいしてみましょう。
南アルプスは、正式な名前を「赤石(あかいし)山脈」と言い、長野県、山梨県、静岡県にまたがって連なる山脈です。「北アルプス」と呼ばれる飛騨山脈、「中央アルプス」と呼ばれる木曽山脈とともに「日本アルプス」と称されています。
日本アルプスという名前は、19世紀に出版された本の中で、イギリス人鉱山技師ウィリアム・ゴーランドが、ヨーロッパのアルプス山脈にちなんで「日本アルプス」と紹介したのが由来とされています。
南アルプスの有名な山としては、富士山に次ぐ日本で2番目に高い山、標高3,193メートルの北岳(きただけ)や、3番目に高い標高3,190メートルの間ノ岳(あいのだけ)、「南アルプスの女王」の異名を持つ3,033メートルの仙丈ケ岳(せんじょうがたけ)などがあります。標高3,000メートルを超える山が9つも連なっていて、多くの登山者が訪れるんです!
ちなみに山梨県の南アルプス市は、2003年に6つの町と村が合併して生まれた市で、一般公募により市の名前が決まりました。市内全域が「南アルプス・ユネスコ・エコパーク」に登録されている、とても自然豊かな地域なんですよ!
余談ですが、「南アルプスの天然水」は南アルプス国立公園の北部に位置する、山梨県北杜市で採水されているんだそうです♪
●現在、山梨県南アルプス市でフォトエッセイ展「日常は麓に置いて」を開催中でいらっしゃいますけれど、見所はどんなところですか?
「フォトエッセイ展ですので、写真と文章を添えて一緒に展示してあるんですね。写真だけだと、山に行ったことがある人は親しみやすさがあるかもしれないんですけど、行ったことがないと全くわからなかったりしますよね。だけど、その文章を読むことで、“あ、こういう感じ方ができるんだ!”とか、“こういう楽しみ方ができるんだ!”っていうふうに、ちょっとでも山を知ってもらえたらいいなって思います」
●写真を撮る時のポイントっていうのは、何かあるんですか?
「山の写真っていうと、“バァーン! って景色がひらけて、雄大な風景、雄々しい山脈”みたいなものを想像すると思うんですけど、実際に私の写真はそういうのが少なくて、山小屋で淹れてもらった、ブリキのちょっと禿げたカップに入っているインスタントコーヒーの写真とか、脱いだ登山靴の写真とか(笑)、割と身近なものを撮っているんですね。凄く立派な風景でなくても、山にあるだけでちょっと輝かしくみえるものってたくさんあって、なのでいつも気負わずシャッターを押していますね」
●そういうのを見つけるのも楽しみですね。
「そうですね。写真って誰もが撮りやすいものなので、それでいてやっぱりその人がいいって思うものとか気づくものって全然違うので、“私だったらこう撮るな”とか思ってもらってもいいですしね」
●南アルプスって、本当に雄大なというか、壮大なイメージがあるんですけど、KIKIさんにとって南アルプスってどんなイメージですか?
「やっぱり、奥のほうは手が届かない、憧れのところなんですけど、南アルプスって水が綺麗なイメージを持っている人も多いと思うんですけど、実際にその奥深い山からきれいな水が流れて来るんです。麓のほうは渓谷がまた凄く綺麗で、私はその水がきらめいている感じとか、春になると雪解けで凄く綺麗な水が流れてくるので、そういうイメージが南アルプスには結構ありますね」
●南アルプスのオススメの場所というと、どこですか?
「写真展にもあるんですけど、山の前衛峰の麓に尾白川渓谷(おじろがわけいこく)があって、そこはもう本当にピクニック気分で行ける場所なんです。白っぽい石が沢沿いに点在していて、ちょっと独特な河原の雰囲気で、私がこのあいだ行った時は、お弁当を持って来て石の上でそれを開いている人がいたりとか、そう行った楽しみ方が出来るのでオススメですね」
●へぇ〜! “ザ・登山!”というよりは、そういったピクニックで楽しめる感じなんですね!
「そこなら私も、娘と飼っている犬を連れていけるなぁとちょっと思ったり。季節がよくなったら行きたいなと思っているところです」
●いいですね〜! ちょっと南アルプスの印象が変わりました! 本当に“ザ・登山!”のイメージが強かったので(笑)
「水が綺麗なので、麓は温泉があったり、果物もいろんな産地のものあって、いろんな季節の果物が楽しめるので、それも山の恵みかなと思っています」
KIKIさんのフォトエッセイ展「日常は麓に置いて」が、山梨県南アルプス市の芦安山岳館で開催されています。KIKIさんらしい視点で撮った写真と、添えられたエッセイは、新たな山登りの魅力を発信していると評判です!
開催は来年2020年の3月10日まで。入館料は大人500円、子供250円。お近くに行った際は、ぜひ寄ってみてください!
アクセス方法など詳しくは、南アルプス市芦安山岳館のサイトをご覧ください。
また、KIKIさんのインスタグラムもぜひご覧ください。KIKIさんらしい写真に癒されますよ〜!