2006年6月4日<スペシャル・インタビュー>

倉本聰さんの語る「五感教育の大切さ」

 6月5日は「世界環境デー」、そして、6月は「環境月間」ということで、環境に関連したキャンペーンやイベントがあちこちで予定されますが、子供たちを自然の中に連れ出して、色々な体験をさせる「環境教育」の大切さが、改めて指摘されています。
 そんな中、『SAVE KIDSキャンペーン2006』の一環として行なわれる『子どもの森づくり運動』に関するシンポジウムが、5月に「新宿厚生年金会館」で開催されました。
 『SAVE KIDSキャンペーン』は、危機的な環境にある子供たちに、自然体験を通して、生きる力や健全な資質を育んでもらうおうと、「自然暮らしの会」の代表、「清水國明」さんらが中心となって進めている活動なんですが、そんな活動に、脚本家の「倉本聰」さんが去年設立した北海道の『富良野自然塾』が協力することになりました。
 そんなこともあって、先月のシンポジウムには「倉本」さんも出席され、記念講演を行なったんですが、講演後に「倉本聰」さんにお話をうかがうことことができました。倉本さんは「五感教育」が大切だとおっしゃっています。

倉本聰さん

倉本さん「五感が何よりだと思います。最近の情報って本にしてもコンピュータにしても、ほとんど視覚から入ってくるでしょ。聴覚はたまにテレビなんかで使いますけど、視覚情報がすごく多いんですね。で、他の五感がないがしろにされちゃっているんですね。そうすると、ゲーム脳っていうのがありますけど、ゲーム脳っていうのはほとんど認知症の脳と似ているらしいんですね。だから僕、最近のいわゆる若者犯罪とか大人もですけど、ああいう犯罪が出てくるっていうのは、そこととっても関係があるような気がしますね。
 例えば、うちの塾で丸太小屋が火事になったことがあるんですよ。丸太小屋っていきなり炎が外に出ないで中が燃えちゃうんですね。で、そのときにすぐ外で塾生が仕事をしていたのに火事に気づかなかったんですね。うちのスタッフが来て『なんか、きな臭いぞ』って言って扉を開けたらゴーッと炎が出たんですね。つまり、きな臭いっていう臭いからくる警報に今の若者達は気づいていないんですね。僕が例えば塾で食事をして、そのときに魚をつまんだらツーンときたんですよ。それで、食事当番の塾生に『悪くなっているぞ。ツーンときたぞ』って言ったら、その子が『えっ!?』って言って、台所へ行って、買ってきた魚のパックの裏を見て『まだ、賞味期限は大丈夫です』ってこういう言い方になるわけですよ(笑)。だから、全部視覚情報から入っちゃってて、本来であれば臭いとか、触覚とかそういったものから悪いとか良いっていう基準が来るはずなんだけど、そういう習慣がもう断ち切られちゃっているっていう気がするんですね。
 ですから、塾へ来て一番最初にやることは、自然の中で目を開けたまま僕を見ながら『今、耳で聞こえているものを、指で数えてくれ』って言うんですよ。それで、あるところまで数えさせますよね。で、今度は目を閉じて数えなおしてくれって言うと、数が倍になりますよ。つまり、視覚っていうものを封じてしまうと、他の感覚が立ってくるんですね。だから、いかに我々が視覚に頼って暮らしちゃっているかっていうことじゃないでしょうかね」

 「倉本」さんのおっしゃる通りですよね。五感を鍛え直し、健全な心と身体を得る一番の方法は、やはり、誰にでも優しく、また、誰にでも厳しい自然の中に身を置き、自然と触れ合うことなんですね。

このページのトップへ

新着情報へ  今週のゲストトークへ  今までのゲストトーク・リストへ  イベント情報へ
今後の放送予定へ  地球の雑学へ  リンク集へ  ジジクリ写真館へ 

番組へのご意見・ご感想をメールでお寄せください。お待ちしています。

Copyright © UNITED PROJECTS LTD. All Rights Reserved.
photos Copyright © 2006 Kenji Kurihara All Rights Reserved.