2010年2月28日
島系環境ライター・有川美紀子さん
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●有川さーん!
「はーい。こんばんは。」
●今回は、どんなレポートですか?
「最近の情報で、1番お伝えしないといけないと思っていたのがありまして、私がそもそも、小笠原に移住を決意した理由の1つでもある、世界自然遺産への登録への進み具合に進展があったので、それについてお話します。」
●お願いします。
「1月末に、世界遺産の登録への最終段階への第1歩といえるような出来事がありました。遺産への登録というのは、ユネスコが行なうんですが、そこに日本が『この場所を世界遺産として推薦しますよ』という推薦書と、推薦する場所の管理計画書というものを、1月末に出したんですね。でもたまに、推薦書がすぐ返されることもあるみたいですが、それがなければ、現地視察と、2012年の7月に世界遺産委員会の審査を経て、登録の可否が決定するということで、国内では、これから先、大規模にやることがないぐらいなところまで進みました。」
●第1段階を終えて、第2段階に向けてという感じですね。
「そうですね。数年前に『まだ推薦書を出すには至らない』ということで、『小笠原で、1番問題になっている外来種の除去を取り組んでいきましょう』ということで、3年間、外来種除去への取り組みを行なってきました。例えば、アノールトカゲという、昆虫を食べるトカゲがいるんですけど、そのトカゲが外来種の昆虫をたくさん食べるということで、『アノールホイホイ』と小笠原では呼んでいるんですけど、ゴキブリホイホイの巨大版(笑)みたいな感じで、森の中に仕掛けたり、昆虫が住んでいるエリアの中に、アノールが入れないような柵を作ったり、以前お話した、アカギという木が生えている森に行って、固有種と一緒になって生えないようにしたりとか、そういうシビアな取り組みを3年かけて行なってきました。そういうことを経て、推薦書をユネスコに出して、出したことのチラシも全島配布されましたが、意外なことに、島の中でそんなに話題になってないんですよね。」
●ダメじゃないですか(笑)。
「笑っていいところなのか、ちょっと悩んでしまいます(笑)。初めて『小笠原を世界遺産に』という話が出たのが、7年前以上なので、長く掛かっているということと、外来種除去が、なかなか目に見えない形で進んでいるということがあって、島の人たちにとって、実感がないということがあるのかもしれないですね。でも、確かに、世界遺産への登録という動きがあってから、島の人が自然について、見直す機会がものすごく増えたんですね。子供たちの会話の中に『世界自然遺産』という言葉が普通に入っているぐらいですから、浸透はしているんですけど、大きな盛り上がりがないだけなんですよね。だから、これから先も、島の中で自然を考えるきっかけになったし、これからどうするかを考えるような役割にはなったかなと思います。」
●具体的な進展として、第1段階をパスしたわけですから、これから徐々に、決定に向けて、島の中でも、自然を維持していったりとか、盛り上がっていくことも増えていくと思うんですけど、やっとファースト・ステップが踏めたというところで、これからちょっと、期待しちゃいますね(笑)。
「そうですね(笑)。必ずしも登録されるかとはいえないですけど、自然を見るきっかけにはなっていると思います。」
●そうですね。有川さん、ありがとうございました。