2005年7月24日
愛知万博取材レポート・パート1今週のザ・フリントストーンは愛知万博取材レポート・パート1です。
“自然の叡知”をテーマに開催中の愛知万博を、当番組の視点でレポート、3週にわたってお送りします。取材レポーターは「弓月ひろみ」さん。
愛知万博の見所とは!?エイミー(以下:エ)今週は「愛知万博・取材レポート・第1弾」をお送りしますが、取材レポーターの「弓月ひろみ」さんに登場してもらう前に、取材スタッフが愛知万博の総合プロデューサー「泉 眞也(しんや)」さんにお会いして、万博の見方や見どころなどをうかがってきました。
泉さん「今度の博覧会で『何か1つに絞って見たいな』とお考えでしたら、僕は映像に絞っていただきたいなと思います。筑波の科学技術博覧会で僕は実質的な総合プロデューサーをやったんです。その時に、20世紀の社会に一番基本的な影響を与えた技術、あるいは思想はなんだろうかということを2年かけて、世界中の知恵者が集まって議論したんですよ。結論は専門的な言い方で言うと、ムービング・イメージ。要するに動く映像なんです。
つなぎ直そう。人と自然(エ)ここからは「愛知万博」の取材に行ってきてくれた「弓月ひろみ」さんと共にお送りしたいと思います。取材、ご苦労さまでした。どうでしたか? 弓月(以下:弓)万博のテーマが“自然の叡知”なので、番組の趣旨にも合うということで取材しました。会場も広く、パビリオンの出展やイベントも多いので、かなり絞りこんだ取材になりました。 (エ)今週から3週にわたって、愛知万博の取材レポートになるわけですが、今週はどんなレポートからスタートするんですか?
(弓)まずは、今回の万博のテーマ“自然の叡知”に対する日本国政府の取り組みや姿勢が反映されたといってもいいパビリオン「長久手日本館」です。
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(弓)まず、見た目的に竹かごを使用されていて印象的なんですが、これはどういったものを使用しているんでしょうか? 吉次さん「竹で編んだネットでパビリオン全体を覆っています。これによって日陰を作って涼しくする。それによってパビリオンが暑くなりませんので、省エネにも繋がっていくという考え方でやっております」 (弓)他には陽射しを和らげたり、涼しくする効果のあるものというのは使用されているんですか? 吉次さん「南側の壁面全体をコクマザサという笹で覆っています。壁面緑化をしています。これによっても直射日光を遮るという効果を狙っています」 (弓)コクマザサは壁に真っすぐに沿うように作られているんですが、これはどういう作りになっているんでしょうか? 吉次さん「プランターみたいなものがありまして、それに植えてそれを壁に貼り付けています。で、それぞれのコクマザサにパイプで水がやれるようになっています」 (弓)枯れずにコクマザサが壁にくっついたような感じになるんですね。他に工夫されているところはありますか? 吉次さん「ええ。もうひとつ、光触媒の鋼板屋根というのを屋根に張っています。これは浸水性といって水を垂らすと水滴にならずに薄く広がる性格がありますので、それを利用して蒸発しやすくして、蒸発するときに熱を奪っていただくという効果を狙って屋根に張っています」 (弓)打ち水のような効果があるということですね。それからパビリオンを支えているのが間伐材ということですが、間伐材の使用について教えていただけますか? 吉次さん「会期6カ月が終わりますと、この日本館は取り壊しになります。そのために新しく森林伐採してくるということは環境を痛めることになりますので、今、使われない間伐材、間引きされた材木を使おうということでそれらを使っています。ただ、充分に生長していない木が多いものですから、それを作るために9本まとめて柱にしたり、スライスしたものを張り合わせて梁に使ったりという工夫をしています」 (弓)6カ月の会期後は間伐材はどうなるのでしょうか? 吉次さん「インターネットで、再利用していただける方を探すようにしております。そのためにICチップを埋め込んでおりまして、この間伐材がいつどこの山で切られたものなのか、どれくらい使ったものかっていう過去の経歴が分かるようになっています」 (弓)最後に、長久手日本館の見所を教えて下さい。 吉次さん「たくさんあるんですけど、ひとつは私共のテーマが『つなぎ直そう。人と自然』というふうに謳っていまして、自然環境問題を解決する鍵っていうのはやはり人と自然が共生する事だと思っているんです。日本も戦後60年間で生活レベルは上がりましたし、生活も便利になったんですけど、その一方でかなり自然を壊してきて、自然を見失っているわけですね。ですから、ここでもう一度それを取り戻していただきたい。やはり、環境だけを守るっていうんじゃダメで、環境を守りながら生活も良くしていくということを今後考えていただきたいっていうのが私共のテーマですので、そういう意味で、館自体もそうですし、展示の中身もそういう観点で見ていただきたいと思います」 (エ)「つなぎ直そう。人と自然」というメッセージがわかりやすくていいですね。
(弓)そうですね。日本国政府の出展事業の基本コンセプトは「人間社会と自然との新たな関係を創造する」。出展は長久手日本館のほかに、瀬戸会場にある瀬戸日本館、そしてインターネット上のサイバー日本館の3つでした。
(エ)長久手日本館の展示にはどんなものがありましたか?
(弓)特に話題になっているのが「地球の部屋」という場所でした。地球の100万分1の大きさである直径12.8メートルの球体、つまり丸い玉の中で映像を見るようになっていて、この360度の全天球型映像は世界で初めてだそうです。
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続いて、ご紹介するのは、建物の形がお祭りのときに登場する「山車(だし)」のようにみえる「長久手愛知県館」、そこで上演されているパフォーマンス「地球タイヘン大講演会」です。
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(エ)愛知万博・総合プロデューサーの「泉 眞也」さんも大推せんされていた、ふたつの素晴らしい映像、もちろん弓月さんは見てきたんでしょ?
(弓)はい、見てきました。センター・ゾーンにある、今回の万博のテーマ館「グローバル・ハウス」、その「オレンジ・ホール」にある「スーパーハイビジョン・シアター」と「ブルー・ホール」にある「レーザードリーム・シアター」がそうなんですが、まず、「スーパーハイビジョン・シアター」はNHKが開発した、一画面の情報量がハイビジョンの16倍という世界初の超高精細映像システムなんです。600インチ大画面と22.2チャンネル立体音響が素晴らしかったです。
(弓)続いてご紹介するのは「レーザードリーム・シアター」。
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素晴らしい映像を体験できる「グローバル・ハウス」は今回の万博のテーマ“自然の叡知”をひもとくパビリオンになっていました。
150mの緑の壁!(エ)今週の「ザ・フリントストーン」は「弓月ひろみ」さんを迎え、「愛知万博・取材レポート第1弾」をお送りしています。さて、総合プロデューサーの「泉眞也」さんのお勧めがもうひとつありました。それは「バイオラング」というものでしたが・・・? (弓)はい、もちろんしっかり取材してきました。「バイオラング実行委員会」事務局の「進藤美子(しんどう・よしこ)」さんにお会いして、「バイオラング」とはいったい何かというあたりからうかがいました。 進藤さん「バイオラングというのは造語で、英語のVAIOなんですけど、それとLUNGEが私達が呼吸するときに必要な肺ですね。都市の肺機能という意味でバイオラングという名前を付けています」 (弓)バイオラングというのはどういうものなんでしょうか? 進藤さん「今、都市ではヒートアイランドとか温暖化が問題になっているんですが、そういう解決策の1つとして土地が少なく、狭い場所でも垂直に緑化することで緑が増やしていけるよっていうプロジェクトです」 (弓)こうしたものが垂直に立っているというのは珍しいと聞きました。 進藤さん「そうですね。これからどんどん普及していくんですけど、まだここに出展されているものも3つくらいが高速道路や東京のほうのビルで使われているんですけど、ほとんどが今回の万博のために開発されたものです」 (弓)今まで実現が難しかったのはなぜなんですか? 進藤さん「垂直にするということで、土が倒れてしまったり、こぼれてしまうというのがありますね。あとは、乾燥させないために水をうまく行き渡らせるっていう灌水方法がクリアになれば今後、どんどん普及していくと思います」 (弓)バイオラングを使うことによって、都市にはどんな効果があるんでしょうか? 進藤さん「6カ月間測定していくんですけど、少なくとも気温が下がるっていうのは、来場のお客様も『ちょっと涼しい』とおっしゃっていますし、あと二酸化炭素の濃度が低くなるというのがあります。あと、都市では見られないような生物、ここにもトンボやハチがいっぱい来るんですけど、そのような生態系のうまい循環が成立すると思います」 (弓)バイオラングのデザインについて教えていただけますか? 進藤さん「3層の壁になっているんですが、中の2層は回廊として歩いていただけるんですね。端から端までが150mで、正面から見ていただきますと池を前にした山並みをイメージしています。ですので、手前には野辺河辺の植栽と、上に行くにしたがって奥山の緑濃いものが植えられています」 (弓)パッと見ると色々な花や草木が植えられているように見えるのですが、大体何種類くらいあるんですか? 進藤さん「会期中は200種類20万株の植物が植えられまして、季節ごとにお花が植え替えられまして、春に来られた方が夏に来られますとまた違った景色が見えますね」 (弓)今後はこれを実際に都市の中に導入していくということになると思うんですけど、そういう予定はありますか? 進藤さん「企業様よりも家庭の、個人でやるならいくら位?っていうお声も頻繁に聞かれるので、個人個人のお家で1平米でも2平米でも緑を増やしていければ、全体とすれば大きな効果になります。また、企業さんだとイメージアップが今、重要だと思いますので、景観の向上と企業イメージアップということで、コストがどこまで下げられるかというのが勝負だと思いますね」 (弓)例えば、企業のビルの壁面であったり、自宅の壁面の他にはどんな利用方法があるんですか? 進藤さん「あとは、工事現場で6カ月など比較的長くかかるところで利用しています。ここの躯体も簡易的なもので作っているんですけど、通常ペイントされているような無機質な絵とかではなくて、癒しの効果がある植物を壁面にしますと景観も良くなりまして、騒音、工事の音も減少するんじゃないかと期待されています」 (弓)今後、このバイオラングを実際に使用していく中で5年後、10年後も続けていくっていうのは可能なんですか? 進藤さん「はい。今ここにあるものは耐久性10年といわれているんですけど、それぞれのタイプで20パターンあるんですが、どれがビルの何階の高さまでいけるかとか、不向きとか適切なものがあるので、当然、歩いている人に壁面が落ちてしまっても困るし、事故があってはいけないので、安全性を第一に考えています。あとはコストをどこまで下げられるかというのが勝負ですね」 (弓)最後に、バイオラングを見に来た方に感じて欲しいことや見所があれば教えて下さい。 進藤さん「季節ごとに色々な光景が見られるので、何度も見ていただきたいというのもありますし、こういう狭い場所でも緑が増やせるんだよ、重要なんだよっていうところを少しでも感じていただければと思います」 |
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(エ)実際に見てきて、どうでした?
(弓)巨大な緑の壁で、長さは150メートル、高さは4.5~15メートル、緑の壁が3層立っていて、その間は通路。世界最大級の垂直の緑の壁なんです。会期中には200種20万株の多種多様な植物が植えられていて、山野草から園芸植物などいろいろ。
(エ)「弓月」さん、ありがとうございました。来週はどんなレポートになりますか? (弓)来週は三菱未来館や三井・東芝館、日立グループ館など、企業パビリオンを中心にレポートします。 愛知万博取材レポート・パート2へ(2005年7月31日放送)愛知万博取材レポート・パート3へ(2005年8月7日放送) |
■愛知万博のアクセス方法や注意点
・まず、万博会場への交通機関は、地下鉄・藤が丘駅からリニモなどいくつかありますが取材スタッフが一番良いと感じたアクセス方法は、名古屋駅からの場合シャトルバスがスムーズだという意見となりました。運行時間は名古屋発長久手会場行きは朝7時台から運行、長久手会場・東ゲートから名古屋行きのバスは午後10時台はじめまであります。行き、帰りとも10分から15分間隔で運行していて、所要時間は、交通事情にもよりますが約30分から40分、料金は、片道1000円、往復は割引価格が設定されていて1500円となっています。ゆったり座ってかえれます。
・そして、会場内ですが、日差しや雨をよける屋根が少ないです。炎天下、熱中症にならないように帽子や日傘は大変役に立ちます。対策として水分補給が大切となります。
愛知万博の公式サイト:http://www.expo2005.or.jp/ |
オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. GET TOGETHER / BIG MOUNTAIN
M2. SAY WHAT YOU WILL / ERIC CLAPTON
M3. OCEANO / JOSH GROBAN
M4. ALL THE LOVE IN THE WORLD / THE CORRS
油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M5. HAND IN HAND / 鈴木重子
M6. BEST OF ME / OLIVIA NEWTON-JOHN & DAVID FOSTER
M7. TERRA / LUAR NA LUBRE
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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