2008年4月13日
2008年版・環境問題の新・常識 第2回「プラスチックごみのリサイクル事情」今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは滝田靖彦さんと杉本裕明さんです。容器包装リサイクル法とは!?
今週のザ・フリントストーンは、もう一度、いちから環境問題に取り組む新シリーズ『2008年版・環境問題の新・常識』の第2回目をお送りします。
滝田さん「まず、容器なんですが、これは読んで字の如しで、物を入れるものです。それから、包装というのは物を包むものをいいます。容器包装リサイクル法を簡単に説明しますと、これは家庭から出る一般廃棄物のゴミの中で、容器とか包装に関わる廃棄物を、消費者とか市民の方に分別して出してもらう。そして、住んでいる市町村が分別収集をする。あるいは保管をする。それで、私共みたいな事業者がリサイクルをする。そういった3つの役割分担ができているわけですね。これで、廃棄物の適正な処理とか、資源を有効に使っていこうとかいわれているのが、容器包装リサイクル法なんですね。
現在の容器包装リサイクル法の課題とは!?続いて、朝日新聞の記者・杉本裕明さんに「容器包装リサイクル法」の課題について話していただきます。 杉本さん「容器包装リサイクル法っていうのは1995年にできたんですけど、もう十数年経ちますよね。これは、どこを真似したかというと、ドイツとフランスなんですね。ドイツの場合は、容器包装を集めて、リサイクルするまでの全部を事業者が負担してやります。ただ、かかる費用の四分の一は自治体が払っているんですね。で、フランスの場合は、エコ・アンバラージュという施設を造りました。それは、ボトルだけに限って、収集、保管、リサイクルをするんですが、これは、収集と保管は自治体がやりますと。で、リサイクルの部分は事業者がやりますと。そういう物を作っている業者が、『責任持ちます!』ってなるんですね。収集と保管に関して、自治体がやっているんですが、自治体がそれに使った経費は、あとから事業者が払い戻ししてくれるんです。だから、自治体の負担はほとんどないんです。割合、便利な制度なんですね。リサイクル自体の量が少ないっていう制約があるんですけど、日本の場合はどうしたかっていうと、フランス方式を真似しているんですね。自治体が収集保管をやりますと。で、残りのリサイクルは事業者がやりますとなったんですが、フランスのように事業者が自治体の分を払ってくれないんですね。その状態できているんですけど、環境省の試算によると、全国の容器包装リサイクル法を動かすに当たって、色々なビンや缶、ペットボトルを合わせて、かかった費用は自治体全部で年間、約3000億円といわれているんですよ。それに対して、事業者がリサイクルにかけたお金はせいぜい400億円くらいかな。だから、自治体が損をしているんですよね。これって不公平ですよね。
3Rで最も優先するべきなのは、REDUCE(リデュース)新シリーズ『2008年版・環境問題の新・常識』の第2回目として、主にプラスチックのリサイクルについてお話を進めている今週のザ・フリントストーン。「プラスチック容器包装リサイクル推進協議会」の専務理事、滝田靖彦さんはリサイクルを含めた「3R」の必要性をこう話してらっしゃいます。 滝田さん「みなさんご存知のように、3RっていうのはREDUCE(リデュース)、ゴミの発生抑制と、REUSE(リユース)、もう1回使っていこうっていうのと、RECYCLE(リサイクル)、再生処理の3つがあるんですが、その中での最優先っていうのは、リデュースなんですね。いかにして、ゴミを出さないようにするかということで、これは法律の中でもいわれているんですが、最近、みなさんもお見かけになると思いますけど、レジ袋を廃止していこうという動きもまさにそれであって、やっぱり最初、レジ袋というのは色々な使い道がありましたから、やっぱりそれがなくなるということに対しての抵抗感っていうのは確かにあるだろうと思うんですね。ですけど、私なんかもそうなんですが、ものを買うときにちょっとしたものだったら、『その袋、結構です』って断っているんですけど、そういうことをみなさん1人1人がちょっとずつでもできることをやれば、レジ袋1つとってもグッと減るんですね。そうすると、ゴミの量もその分だけ確実に減りますから、リデュース、発生抑制に繋がる。ですから、我慢をちょっとすれば、3Rも進むんでしょうし、その我慢をすることにある程度慣れてしまえば、そう難しく考えることはないんじゃないかと思いますね。そういうことから始めていくっていうのは大切なことだと思います。3Rをいうときに、『生活パターンを変えなきゃいかん』という人がいるんですけど、確かに、そのとおりだと思います。ですけど、そう難しくは考えないで、最近、カバンの中に入れて飲み物を持ち歩いている方がたくさんいらっしゃいますけど、全てをそうするっていうことじゃなくて、リターナブルでいいところは、リユースのビンを使えばいいのであって、どうしても、ビンを持ち歩くっていうのはちょっと大変ですからね(笑)。でも例えば、断るっていうのはすぐにでもできることですからね。そういうところからやっていくっていうことが、必要なことだと思いますね。実行していくと、3Rもどんどん進んでいくんじゃないでしょうかね」 ●家庭ではリデュース、リユースを心がけ、外に出たら、その2つを心がけながら、最後の最後でリサイクルをやっていくっていうのが3Rのあるべき姿なんですね。サーマル・リサイクルっていうのも、プラスチックのリサイクル法の1つとして上げられますが、それ以外にも、マテリアル・リサイクル、ケミカル・リサイクルと、色々な方法があるそうですね。 滝田さん「燃やすっていうのもサーマル・リサイクルといわれていますけど、我々が言っているサーマル・リサイクルっていうのは、単純に燃やすことを言っているのではなくて、エネルギーを回収したり、使うっていうことがサーマルの特徴なんですね。例えば、固形燃料にして、それを燃料として使うとか、そういうのをサーマルといっています。
プラスチックのリサイクルに関して、滝田さんはこんな意見も持ってらっしゃいます。 滝田さん「石油製品だから何が何でもリサイクルしなくちゃいけないという考え方ではなくて、分別排出をするということは、キレイにして出すということが条件として挙げられます。キレイにするやり方も、水を使ってきれいにする方もいらっしゃいます。そのやり方自体は決して間違ってはいないと思うんですが、ただ、何気なくされていることが、水を使っていることは、それだけ水の資源を使っているっていうことにもなりますから、『どうなのかな?』という素朴な疑問が出てくると思うんですね。ですから、例えば食器を洗った洗い水でキレイにできるものはキレイにして、それ以外、なかなか取れない汚れのあるものは、燃やすゴミの中に入れるっていうのをハッキリしてもらったほうがいいと思います。ですから、リサイクルをするということになると、1つの原料になりますから、キレイにする必要があると思いますし、みなさん、面倒くさがらずに、市町村が言っていることに従っていただければありがたいなと思います。大げさに言いますと、その行為はわれわれができる範囲で環境に貢献しているんだと言えると思うんですね。何気なく汚れたまま捨てて、環境のことを言っている人と、市町村からそういう達しが来ているから、キレイにして出している人を比べると、どっちが正しいかといったら後者のほうですよね。それだと、やることをちゃんとやって、環境の問題に関心を持ってきちんとやってもらっているんだなってなると思いますけど、そこは面倒くさがらずに分別をして、キレイにして出してもらいたいですね。私が言っている『キレイ』というのは、食器を洗った水くらいで落とせる汚れはきれいにしてもらって出すという考え方でいいんじゃないかなと思っています」 リサイクルよりもゴミを出さないことが大切今週のザ・フリントストーンは、新シリーズ『2008年版・環境問題の新・常識』の第2回目として、主にプラスチックのリサイクルについてお送りしていますが、朝日新聞の記者・杉本裕明さんは今後の課題をこう考えてらっしゃいます。 杉本さん「色々な課題はあるんですけど、1つは、せっかくリサイクルするわけですから、リサイクルをする過程で、新たなゴミが出ないようにする技術開発とか、分別の方法をもう少し改善しなくちゃいけないという問題もあると思います。それから、自治体が困っているように、リサイクルにはお金がかかるんですね。なぜかというと、特にプラスチック容器の場合は、空気を運んでいるみたいなもんだってよく言うんですよ。比重が非常に軽いですよね。だから、余計に車に積める量も少ないですから効率が悪いと。一般的にはプラスチックごみを運ぶのにかかる経費は、1キロ当たり50円から60円かかるといわれているんですよ。それから、先ほど『保管する』と言いましたよね。その保管する費用が同じように50円~60円かかるんですね。そうすると、その部分は自治体が負担しなくちゃいけませんから、プラスチック1キロ当たり100円以上かかるんですよ。これは大変なことですよね。そうではなくて、可燃ごみに混ぜて焼却していれば、トータルで30円~40円くらいで済むわけですね。そうすると、キロ当たり100円以上かかるコストを、もう少し下げなきゃいけないですね。
同じく今後の課題について「プラスチック容器包装リサイクル推進協議会」の滝田靖彦さんはこんな風におっしゃっています。 滝田さん「事業者もお客さんがそういうものを望んでいるってなったら、やっぱり事業者もニーズに合わせた物作りをしますし、これは、卵が先か、ニワトリが先かの議論になっちゃいますけど、事業者サイドからすると、『消費者のニーズがあったから』という言い方をしますし、消費者は『私達は事業者が出したから使っているんだ』っていう言い方をするし、それはすぐには決着がつかないにしても、ある意味ではそれだけ社会が便利になったっていうことで、そうなったんだと思いますので、できるところからやっていくというのが、これからの循環型の社会を作る上では必要なことだと思いますね。プラスチックについては、我々も皆さんにしっかり広報しなくちゃいけないし、みなさん方もプラスチックそのものを、石油からできているってことを含めて、よく知っていただくことが必要になってくると思いますね。その性質をよく知ってもらうと、便利さだけではなくて、捨てた後のことも考えて、循環型社会を作っていくという方向に、全員参加型で向かっていかなきゃいけないなと思っています」 今回は主にプラスチックのリサイクルにスポットを当ててお送りしてきましたが、リサイクルの問題はプラスチックに限らず、古紙やビン、缶、そして家電製品など、広い範囲に渡ります。そこで、新シリーズ『2008年版・環境問題の新・常識』第3回目は「素材別のリサイクルの実態」に迫ります。放送は6月1日予定。どうぞお聴きのがしなく。 このシリーズ『2008年版・環境問題の新・常識』ではリスナーの皆さんからも色々と教えていただきたいと思っています。特に、お住まいの市町村ではどうなのかなど含めて、ご意見やご感想、また、今さら聞けないと思っているような疑問なども、お寄せください。 今週のキーワード: 容器包装リサイクル法/ 3R/ サーマル・リサイクル/ マテリアル・リサイクル/ ケミカル・リサイクル このほかの杉本裕明さんのインタビューもご覧ください。
このほかのシリーズ『環境問題の新・常識』もご覧ください。
『環境問題の新・常識』ホームページ
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AMY'S MONOLOGUE~エイミーのひと言~
東京23区ではすでに4月1日からゴミの回収方法が大きく変わった地域もありますが、私の住んでいる練馬区では今年の10月から区全域でプラスティックごみが可燃ゴミ、容器包装プラスティックが資源化されるまでは、今まで通りプラスティックごみは不燃ゴミとして処理されています。一方、フリント家の事務所がある新宿区ではプラスティックごみが可燃ゴミに、そして容器包装プラスティックが資源ゴミに変わりました。もちろん初めはちょっと戸惑いましたが、今では自分の出すゴミについて考え直すいいチャンスなのかもしれないと思うようになりました。特に事務所に設置されている可燃・不燃・資源(容器包装プラスティック)用の、それぞれのゴミ袋の膨らみ方をみていると、不燃用はペッシャンコ、可燃用は前よりちょっと多い、資源用はかなり膨らんでいる、など今までどれだけの資源を廃棄物として捨てていたんだろう!またどれだけ容器包装という名の不必要なプラスティックを消費しているんだろう!とちょっと驚いてしまいました。皆さんも“買わず/もらわず”にすんだ“ゴミ/資源”はないか、この機会にゴミ箱の中を覗いてみてはいかがでしょうか。 |
「プラスチック容器包装リサイクル推進協議会」情報滝田靖彦さんが専務理事を務める「プラスチック容器包装リサイクル推進協議会」では、今回紹介して下さった「リデュース」「リユース」「リサイクル」という、いわゆる「3R」を推進する活動も行なっています。詳しくは下記のホームページをご覧ください。 「プラスチック容器包装リサイクル推進協議会」のHP:
朝日新聞記者・杉本裕明さん情報最新刊『赤い土・フェロシルト~なぜ企業犯罪は繰り返されたのか』
『ごみ処理のお金は誰が払うのか』
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」
M1. VINYL / PAUL GILBERT
M2. GETTING BETTER / THE BEATLES
M3. NEVER LET ME DOWN / DAVID BOWIE
ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」
油井昌由樹ライフスタイル・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」
M4. THE 3 R'S / JACK JOHNSON
M5. IF I CAN'T CHANGE YOUR MIND / SUGAR
エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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