今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、高砂淳二さんです。
自然写真家の高砂淳二さんには何度もこの番組にご出演いただき、ナイト・レインボウやハワイの自然のお話など、たくさん聞かせてくださいました。そんな高砂さんは先頃「ペンギン・アイランド」という写真集を出版されました。この写真集は主にフォークランド諸島で撮った、可愛くてユーモラスなペンギンの写真が満載です! ということで先日、都内にある高砂さんのオフィスにお邪魔して、ペンギンのお話をたくさんうかがってきました。
●今回のゲストは、自然写真家の高砂淳二さんです。ご無沙汰しています。
「お久しぶりです。」
●先日出された写真集「ペンギン・アイランド」ですが、表紙を見ただけで幸せな気持ちになりました!
「そうですか! よかったです。」
●その写真は、白い砂浜の奥にエメラルドグリーンの海があって、波が手前に打ち寄せてきているんですが、その波のところにペンギンが5羽、手を繋いでいるように立っているんですが、その姿がすごく可愛いんですよね!
「まるで、南国にペンギンがいるみたいですよね。」
●本当そう思いました! 「こんな南の島にペンギンがいるんだ!」と思って、驚きました。今回の写真集は主にどこで撮影されたんですか?
「主にフォークランド諸島で撮りました。フォークランド諸島というのは、南米の先の東側に浮かんでいる島で、もう少し南下すれば南極があるという寒いところなんですね。それでも、砂が真っ白で、水も透明なので、まるで南国みたいな風景が広がっているんですよね。」
●なぜ、そのフォークランド諸島に行こうと思ったんですか?
「4、5年前に海外に行っていたとき、南国のようなビーチにペンギンが並んでいる写真を見たんですね。『こんなところがあるのか!』と驚きました。それまではペンギンというと、雪や氷といった世界にいるというのが当たり前だと思っていたので、衝撃を受けましたね。それに、僕は昔から南国の島が好きで、海の中も好きで、生き物も好きだったので、それが全て揃っているので、『行かないと!』と思いました。それからその気持ちをずっと温めて、3年前の2月に3週間ぐらい行って、じっくりと撮影してきました。」
●実際に行ってみて、どんな感想をもちましたか?
「初めて着いたときは、小躍りしちゃう感じでしたね(笑)。人がほとんどいなかったんですよ。最初、スタンレーという首都のような街に行ったんですけど、そこには2,000人以上住んでいるんですね。そこからセスナで別の島に行ったんですけど、空港とはいえ、ほとんど原っぱで、中心となるところに家が2、3軒建っているだけなんですよね。そういうところは民宿になっているんですけど、そこからトラックで1時間半ぐらいかけて移動したんですけど、現地に住んでいる日とが迎えてくれるものだと思っていたら誰もいなくて、送ってくれた人は『毎朝7時にトランシーバーで生きていることを伝えてね』と言って、帰っちゃったんですね(笑)。
半径10~20キロぐらいには、人間は僕しかいなかったですね。その代わり、ペンギンが周りに何十万羽いるような状態で、朝から夜までペンギンと一緒にいましたね。ドア開けると、すぐそこにペンギンがいるんですよ(笑)」
●ということは、ペンギンたちが生活しているところにお邪魔しにいった感じなんですね?(笑)
「そうですね。少し歩いたところに長くてキレイなビーチがあるんですけど、そこに行くと数種類のペンギンがいて、僕が一歩近づくと、ペンギンが一歩下がるんですよね。でも、そこで横になって、撮影しながらじっとしていると、警戒心よりも好奇心の方が大きくなって、少しずつ近づいてくるんですね。顔を覗き込んできたり、ジーパンを引っ張ってみたりして、すごく可愛かったですね。イルカやアシカは好奇心があって、遊びにきたりしますけど、ペンギンがそういう風に好奇心をもって近寄ってくるとは思いませんでした。もう楽しくて楽しくて、毎日笑いながら撮影していましたね(笑)」
●話を聞いただけでも楽しそうですね!
※フォークランド諸島で3週間ペンギンに囲まれて過ごした高砂さんですが、そこにはどんな種類のペンギンがいるのでしょうか?
「“キングペンギン”という、1メートルぐらいのペンギンの中で2番目に大きいものがたくさんいましたし、“ジェンツーペンギン”もいましたね。このジェンツーペンギンは、すごくお茶目な性格をしていて、好奇心がすごくあるんだけど、慌てやすくて、ちょっと驚かせると慌てて逃げちゃうような感じなんですよね。あと、“マゼランペンギン”という、かなり小さくて臆病で、固まって行動する種類なんですね。海に入るときも、波打ち際の手前で固まって『お前、先に行けよ』みたいな感じで譲り合うんですよ(笑)。動くたびに、自分から先に動くのは嫌みたいな感じなんですよね(笑)。そういう性格のペンギンですね。それと、“イワトビペンギン”という、こめかみのあたりに黄色い立った毛があって、髪の毛をリーゼントさせたような、コマーシャルで使用されたことで有名なペンギンなんですけど、あのペンギンは頑張っちゃう性格で、人が近づくと、怖いくせに頑張って睨み付けるように見るんですよね。」
●本当に多種多様なペンギンがいるんですね!
「しかも、同じビーチに違う種類のペンギンがいたりするんですよ。周りには人がいなくてペンギンしかいなかったから、何をやっても恥ずかしくないんですよね。横になってペンギンに話しかけたりしても、向こうは分からないのにも関わらずこっちを見てくれたりしてくれるし、後ろに付いてきながら写真を撮ったりと、誰かが見ていたら少し恥ずかしくてやらないようなこともできたので、子供のように写真を撮っていたと思います。
ペンギンって二本足で歩くじゃないですか。なので、仕草が人間っぽいんですよね。例えば、かゆいところがあってかくときも、二本足だから、そのまま足を上げてかくと転んじゃったりするんですよ(笑)。そうならないように、隣のペンギンの肩を借りてかいたりするんですよね(笑)。他にも、じゃれあってみたり、カップルになりたての二人が、僕が見ている間、波打ち際を出たり入ったり、お互いをツンツンしたりと、ずっといちゃついたりしているので、見てて飽きないですね。そんな彼らを見ていると、吹きだしが浮かんできますね。なので、今回の写真集の一番後ろには吹きだし的なキャプションをいっぱい入れています。写真展をやっていたんですが、吹きだしのようなキャプションを写真の下に全部張ったら、見てくれた人はみんな喜んで読んでくれました。」
●可愛らしいですね!
「そうなんですよね。自分の気持ちを乗っけてしまうような気分になりますよね!」
※今、モルティブをテーマにしたドキュメンタリー映画「南の島の大統領~沈みゆくモルティブ~」が新宿のK'S CINEMAで上映中です。高砂さんはそんなモルディブに40回ほど訪れているということで、映画のトークイベントに招かれています。そこで、高砂さんに、どんな映画なのかうかがいました。
「この映画は、モルディブに通いつめている人でも知らないような世界を見せてくれているんですね。例えば、新しい大統領が、30年続いた独裁政権に終止符を打ったんですが、新しい大統領が就任したときに、モルディブがいかに沈みそうになっているのかということに気づいたんですね。そこで大統領は、コペンハーゲンで世界の環境ミーティングがあって、そこに乗り込んでいったんですね。乗り込む前から二酸化炭素の排出量の制限を提案したりと、色々な働きかけをしたんですけど、最終的には中国やアメリカ、インドなど反対していた国に対してもなんとか合意を取り付けて、取り組みが成功するという映画なんですね。」
●モルディブに長年通っている高砂さんも、その危機的状況は感じていますか?
「パッと見ただけでは分からないところではあるんですね。なぜなら、モルディブって季節によって風向きがガラッと変わるんですよ。その風が変わると、島の砂州ののびる方向が変わるんですよね。なので、島の形が一年で結構変わるんですね。なので、『ここの砂、前来たときにはあったのに、今ないじゃん。大変だ』って思っても、それは風向きが変わっただけだったりするので、分かりにくい部分があったりするんですよね。それでも、バレーボールのコートでバレーボールができなくなっていたり、大きなヤシの木って普通は何年も立ったままなはずなのに、そういうのが何本も続けざまに倒れて無くなってしまったりするんですよ。そういうのを見ると、危機的状況を感じますね。」
●現地の人は、その現状をどういう風に捉えているんですか?
「南の島の人たちはのんびりしているところがあるんですね。例えば、沈むといわれているツバルがありますけど、あそこも酷いときには、膝ぐらいまで浸かってしまうときがあるんですね。そういった現状を向こうの人に聞くと、『どうだったかな? 忘れちゃったよ(笑)。そういえば、こうなってきたような気もするし、前からあったような気もするなぁ』という感じにしか言わないんですよね。」
●この番組でも、ツバルのことは何度も取り上げさせていただいているんですが、日本から行くには遠い国じゃないですか。でも、そこに思いを馳せることが大切だと思うんですよね。
「そうですね。思いを馳せないといけないですよね。東日本大震災が発生したとき、モルディブの人たちが3日間でものすごい額の寄付金を寄付してくれたんですね。それは、向こうの人たちにとって前例がないことで、考えられないような額を寄付してくれたんですけど、その後に僕はモルディブに行ってお礼を言ったら、『以前あった津波のときにはモルディブもやられたけど、そのときに日本にはかなりお世話になったから、恩返しだ』って言ってくれたんですよ。 向こうの人って、1~2ぐらいの部屋数しかない小さい家で質素な生活をしているんですが、そんな生活を切り詰めて寄付してくれたんだと思うと、島や現地の人たちに思いを馳せないといけないなって思いますよね。」
●お話を聞いていて、胸が熱くなりました。私たちも考えていきたい問題ですね。さて、次回作はどの辺りで撮影するんですか?
「近日中にカナダのイエローナイフに行って、オーロラを撮ってこようかと思っています。僕はまだ見たことがないんですが、夏のオーロラがキレイらしいんですよ。」
●撮影されて、次回作ができたときには、またお話を聞かせてください!
(この他の高砂淳二さんのインタビューもご覧下さい)
高砂さんの最新の写真集「ペンギン・アイランド」は、どれも可愛らしくてハッピーになれるペンギンの写真が満載です。その中で特に私が好きな写真の一枚が、海に向かって歩いてるジェンツーペンギンの後ろ姿の写真なんですが、両手を広げて歩くその姿は本当に愛くるしくて思わず「やったー! 海だー!!」という声が聞こえてきそうな一枚です。是非、みなさんチェックしてみて下さい!
パイインターナショナル
/定価1,680円
高砂さんの最新の写真集となるこの本は、主にフォークランド諸島で撮ったペンギンの写真が満載です。ユーモラスで可愛くて、笑顔になれる写真集となっています。
9月1日(日)まで所沢市民文化センターミューズで写真展『地球はたからもの』が開催されています。ペンギンやイルカ、虹、海の生き物など、100点ほどを展示しているので、是非ご覧になってください。
◎入場料:一般・500円、中学生以下・無料
高砂さんもオススメする話題のドキュメンタリー映画『南の島の大統領~沈みゆくモルディブ』は、新宿のK'S CINEMAで絶賛上映中です。詳しくは、オフィシャルサイトをご覧ください。
その他の情報は高砂さんのオフィシャルサイトをご覧ください。サイトには、高砂さんが撮ってきた写真も見ることができますので、是非チェックしてください。