2017年1月28日放送
このコーナーは、国内外で話題になっている自然環境系のニュースや出来事にフォーカス! 主に専門家や当事者の方に電話をつないで、お話をうかがっていきます。
今回は“トラフグ”にフォーカス! 去年、千葉県富津の沖合で、釣り船のお客さんが大型のトラフグを大量に釣って、ニュースでかなり話題になりました。もしかして、東京湾で繁殖しているのでしょうか?
神奈川県水産技術センターのトラフグの研究者・山崎哲也さんに電話でお話をうかがいます。
●山崎さーん! よろしくお願いします!
「よろしくお願いします」
●早速ですが、高級魚のトラフグが東京湾で繁殖してるって本当なんですか?
「その可能性は高いと思っています」
●稚魚も葛西海浜公園の干潟で見つかったそうですね。
「今年と2年前に稚魚が大量に見つかっています」
●トラフグというと、下関や北九州のイメージがありますが、どうして東京湾で繁殖している可能性があるんでしょうか?
「以前から神奈川県で小さいトラフグを放流していまして、それが増えてきたことと、トラフグが生息できるような条件が整ってきたことが、繁殖の原因ではないかと思っています」
●東京湾のどんな条件がトラフグの繁殖につながっているのでしょうか?
「水深10~50メートルといった比較的水深の浅いところや、海底の砂が荒かったり、水温の条件などが相まって、繁殖しているのではないかと考えられています」
●水温はどれくらいなのでしょうか?
「14度くらいですね」
●東京湾といっても広いですが、どのあたりがその条件に合っているのですか?
「去年の4月に大量に釣り船で漁獲された富津沖などは、砂が比較的荒いのでその条件に合っているのではないかと思っています」
●なぜ砂が荒いといいんですか?
「トラフグは卵を海底に産んでいくため、荒い砂でないと卵がその場に固定されないからですね」
●サラサラな砂だと海流に流される可能性があるからなんですね。ということは、今後も富津沖でトラフグが増えていく可能性は高いということなのでしょうか?
「そうですね。今後も産卵が毎年のように行なわれていくようであれば、トラフグは増えていくのではないかと思っています」
●ちなみに今後、江戸前のトラフグを私たちが食べられるようになるためには、さらにどういった条件が整ってくるといいのでしょうか?
「“私たちがトラフグを獲り過ぎないこと”ですね。特に、産卵期の大きなトラフグを獲り過ぎてしまうと繁殖ができなくなってしまいます。それと、お店には出せないような20~30センチの小さいトラフグは成長するまで漁獲しないようにすることも大事ですね。そういった色々な管理が必要になってくると思います」
●いつか、江戸前のトラフグが食べられるようになったら嬉しいですね!
「そうですね、ぜひ食べてみたいです」